タクシードライバーは儲かる?儲からない?現役ドライバーがズバッと解説!

公開日:2024/09/19 14:43

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タクシードライバーで年収1000万円を越えることは不可能ではありません。もっとも1000万円のハードルはかなり高いのですが、700〜800万円のドライバーはゴロゴロいます従って、儲かる仕事であると言えるでしょう年収800万円ということは、月収に換算すると66万円程度です。これだけの所得が得られるのであれば、家族を養うこともできるしマイホームを購入することも視野に入ってきま​す。


また、タクシードライバーになるためには、学歴は一切求められません職歴も不要です。40歳までまったく仕事をしたことがない人が、突然タクシードライバーになりたいと思ったとしても運転に適性さえあれば就職することは可能です。誰でもなれるのに年収800万円という、うまい話なんかあるわけないと思うかもしれませんが、実際にあります


事業に失敗した元社長、社内で問題を起こして会社にいられなくなった人、肉体労働者。場合によっては、刑務所から釈放された後にタクシードライバーになる人もいるでしょう。本当に収監しているかを確認したことはないですが、タクシードライバーをしているとそれらしい人には会うことがあります。


誰にでもなれて年収800万円これは事実です。ただ誤解を招く表現でもあります。誰もが年収800万円を稼げる訳ではないからです。やってもやっても収入が増えないドライバーもいます。このあたりのメカニズムを知るためには、タクシードライバーの特殊な給与形態を理解する必要があります。



 タクシードライバーは歩合制


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タクシードライバーの勤務時間は法律で厳しく定められています。少し前の時代は、超過勤務を行うことが常態化していたようですが、今では勤務時間を1分延長しただけでも会社から大目玉をくらい、始末書を書かされることもあります。こうした違反が続くと、会社の方も罰せられることがあります。そして、タクシードライバーは歩合制です。つまり、お客さんをたくさん乗せて、多額の運賃を払ってもらうことによって収入が増えていきます。


詳細な給与形態は会社によるのですが、武三地区(東京特別区、武蔵野市及び三鷹市)においては50〜60%が一般的です。つまり運賃が1000円であれば600円がタクシードライバーの収入となります。1万円であれば6000円です。東京から大阪などの極めて遠くまでお客様を乗せるスーパーロング」の場合には、運賃は20万円以上になります。そうなると、ドライバーの収入も12万円程度になります。日給12万円と考えると、タクシードライバーがどれだけ儲かる仕事なのかがわかります


仮にこれが毎日続くと、20日勤務とした場合には、月収240万円、年収は2880万円です。スーパーロングのお客様には一生に一回出会えるかどうかなので、毎日会うことは不可能です。しかしながら、毎回長距離を移動する固定客をつかんでいるドライバーはいます。2万円の運賃を払ってくれる固定客が月に10回乗ってくれた場合には売上は20万円月収も12万円保証されます。


こういったお客さんを多数抱えるのが、稼ぐドライバーの一つの終着点です。年収800万円を越えて1000万円以上稼いでいるタクシードライバーは、太い顧客を多数抱えている可能性が高いです。こういった営業方法は誰にでもできるものではなく、固定客を捕まえるトークスキルや、特殊なコネクションが必要となります。


具体的にいうと、芸能関係にもともと務めていたドライバーが芸能人の送迎やロケなどによる長距離移動などの仕事で指名されるというケースは聞いたことがあります。非常に景気の良い話ですが、真似しようと思ってもなかなかできません。最後は少し極端な例になりましたが、お客さんを乗せて走れば、それだけ儲かる仕事だということはわかっていただけたと思います。それでは、一般的なドライバーの様子を考えていきましょう。


 儲からないタクシードライバーの日常


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朝9時半に出勤して10時には出庫します。そして、営業所の近くにある駅のタクシー乗り場に並びます。武三地区における主戦場は、都心です。なので、周縁部の駅にいてもお客さんはあまりいません。さらに朝の出勤時間を終えた後に需要はほとんどありませんあくびをしたり、タバコを吸ったりしながら1時間並び、地元の駅から自宅まで帰るお客さんを乗せます。


1時間に1回、420円のお客さんを乗せた場合には、歩率が60%であったとしても時給換算すると252円です。会社によってはある程度の給与が保証されることもありますが、どれだけよくても最低時給分しか稼げません。月に200時間常務をしていたとしても、月収は最低時給分なので20万円程度になるでしょうか。


近所の駅で暇そうにしているドライバーの収入はそのくらいいけばいい方です。月収10万円を切る場合もあります。さて、地元の駅で待ち続けているドライバーにもチャンスタイムは訪れます。夕方の帰宅ラッシュがまず一つ目。お客さんの数が多いので、さすがに時給252円ということはなくなります。とはいっても、長い距離を乗るお客さんはあまり多くありません。


朝の通勤時間も同じようにチャンスがありますが、このドライバーの場合には、朝のチャンスを逃してしまっています。勤務形態にもよるのですが、朝の営業ができる早番の仕事の場合には、なるだけ早く出庫する方が稼げるのは間違いありません。


もっとも、ゆっくり出庫して夕方から夜を狙うドライバーの場合にはこの限りではありません。天候が悪い日はタクシードライバーにとっては当たりです。短い距離であっても歩くのを億劫に思うお客さんが多いため、駅のタクシー乗り場には待機列ができます。長距離のお客さんこそ多くはありませんが、回転率が高まります。平均単価が500円であったとしても、1時間に5回乗せることができれば売上は2500円、時給換算で1500円稼げていることになります。


天候以外でも、電車の遅延や運行休止があったときもタクシーの稼ぎ時になります。タクシードライバーにとっての一番のチャンスタイムは、終電の後です。公共交通機関であるバスと電車が止まったあとは、自力で移動するかタクシーで移動するかの二択になります。酔っ払って終電を逃してしまい、1万円を払ってタクシーで家まで帰るという経験は多くの酒飲みに覚えがあることでしょう。家まで帰るだけなのに1万円を払うのは高いと思う人もいるでしょうし、若い人ならばネットカフェなどで一晩を過ごすことも選択肢に入るでしょう。


一方で、家庭持ちの男性などは浮気を疑われるリスクや、翌日の仕事に影響しないよう早く休みたいため、多少高くても早く帰宅したいと考えることもあります。もっとも、この儲からないドライバーの場合は、地元の駅のタクシー乗り場に並んでいるため、終電後のロング客にはなかなか出会えません


たとえば東京メトロ東西線の東陽町駅のように、終電が車庫近くの駅で止まるケースの場合はチャンスが見込めます。東西線の終電は東陽町止まりなので、東陽町よりも先に住んでいる人は、そこからタクシーを使う必要があるからです。東西線から接続される東葉高速鉄道の終点、東葉勝田台まで帰るお客さんに、ご乗車いただけた場合には、15000〜20000円の運賃となります。つまり、ドライバーとしても1発で9000〜12000円を稼ぐことができます。とはいえ、需要が必ず発生するところには供給も多くあります。


つまり、稼げる場所には他のタクシードライバーも集まっています。東陽町駅の場合には、終電後のお客さんを狙うタクシーと、そうではない通常のお客さんを狙うタクシーでは、列に並び方が異なるなどのローカルルールがあると聞いたことあります。非常にややこしいので、普段から東陽町でやっている人に詳しく聞かないとトラブルになる可能性があるそうです。


駅によっては、古参の常連に追い出されることもあると聞いています。追い出すだけの根拠はないのですが、そういう面倒なドライバーがいる駅には近づいてもいいことはありません。こうして儲からないタクシードライバーの一日は終わります。稼いだ売上は25000円。収入に換算すると15000円です。日給15000円ならいいのですが、このタクシードライバーは隔日勤務といって、2日分まとめて働いて1日休むという勤務スタイルなので日給換算だと7500円です。月収18万円、年収216万円です。


 儲かるタクシードライバーの日常


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のそのそと昼頃目覚めて出勤するのは14時です。そう、午後に出勤します。タクシーのチャンスタイムは公共交通機関が動いていない時間です。またこの時間帯は、深夜割増料金として2割増しの運賃がかかります。割増し料金が適用される22時から翌朝5時までを業界用語で「青タン」と言います。どのタクシードライバーにとってもチャンスタイムですが、しっかり稼ぐドライバーは、この時間帯は目の色を変えます。20倍界王拳とかエンペラーモードとか卍解とか、世代によって言い方は違いますが要するにみんな本気になります。


人によって営業スタイルは異なりますが、ここでは武三地区の花形である、銀座営業をするドライバーについて説明しようと思います。銀座は東京で最も華やかな町です。言い換えるとお金持ちが飲んでいる町です。コロナ禍でだいぶ状況は変わってしまいましたが、それでも銀座を超える町はありません。


ただし、夜の銀座でタクシー営業をするためには、ややこしいルールを把握する必要があります。銀座でのルールを破るのはタクシー業界における重罪で違反を繰り返す会社には重いペナルティが課せられます。22時から翌日1時までの3時間、銀座には乗車禁止地域が設定されます。タクシー業務適正化特別措置法という法律の規定により、この地域内でお客さんを乗せると大変なことになります。


具体的にどうなるかというと、会社に締め上げられ、続くようならクビになります。タクシードライバーは、11カ所に設定されたタクシー乗り場に並ぶ必要があります。このルールを詳細に把握していないと銀座で営業はできません。高級クラブが並ぶ銀座8丁目に一番近い、1号は人気のある乗り場です。終電後まで優雅に飲んだセレブリティが、郊外にある自宅まで戻っていきます。


クラブで飲むといくらかかるのかまでは把握していませんが、5万円や10万円では済まないことも多いと聞きます。となると、帰宅のために1,2万円を支払うことなど問題になりません。そもそも、接待などで訪れていて経費として支払われるため自分で払う必要がない人もいます。


こういった「良いお客さん」が減少するコロナ禍においては、タクシードライバーの収入も振るわなくなっています。1時を過ぎると乗車禁止地域が開放され、銀座の路地という路地にタクシーが殺到します。この時間帯でどれだけお客さんを乗せられるかが腕の差となります。


同じようなところで同じように営業をしていても、お客さんにさっぱりめぐりあえないドライバーもいますし、すぐにロングのお客さんを見つけて銀座から飛び立っていくドライバーもいます。儲からないドライバーが近所の駅で25000円を売り上げた日に、銀座のドライバーは運賃1万円を超える、業界用語でいう万収を何回も叩き出していきます。場合によっては1回の売上が25000円を超えることもあります


地元の駅にいるドライバーが1日かけて稼ぐ金額を1時間で超えてしまうこともあります。このドライバーの場合には、22時の「青タン」までに1.5万円を売り上げ翌朝5時までに3本のロングを含めて5万5千円。朝の時間帯に1.5万円を稼ぎ、11時に帰庫しました。売上額は8.5万円で、ドライバーの収入は5.1万円です。日給換算すると約2.5万円となります。


仮にこのペースで売上続けたとすると、月収61.2万円。年収にすると約734万円となります。詳細な計算方法は会社によって大きく異なるのですが、毎乗務このくらい売上を出せると年収は700万円を超えてきます。


従って、タクシードライバーは儲かる仕事だと言うことはできます。しかし、これが誰にでもできることなのかというとそうではありません。身体が丈夫で、無遅刻・無欠勤であることに加えて、無事故・無違反であることも重要です。もっとも、年収400〜500万円は、コロナ禍がおさまった上であれば、誰にでも十分に狙うことができます。ただし、楽をしようとすると、その分年収が下がる仕事であることも明らかです。稼ぐも稼がないも、自分次第という意味では非常にやりがいのある仕事といえます。


 まとめ


名称未設定


  • タクシードライバーは歩合制
  • のんびり営業しているドライバーの収入は少なめ
  • しっかり稼ぐドライバーは深夜の時間帯に本気を出す

タクシードライバーの収入を見てきましたが、魅力的に感じていただけたでしょうか。収入はドライバーの気力、体力、努力に大きく左右されます。ここがタクシーの仕事の難しいところであり、面白いところでもあります。ドライバーによって得意なエリアや時間帯が違っていますしどの程度の収入を得たいのかも違っています。今度タクシーに乗ることがあったら、運転手に得意なエリアなどを聞いてみて下さい。駅着けをしているタクシーは、その駅周辺のことをよく知っていますし流しのタクシーは町の変化に敏感です。収入についても夢がありますが、それ以上にとても刺激的な仕事です。

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