タクシーチケットとは?チケットを渡されたときの使い方!

公開日:2024/09/20 01:53


最近では少なくなってきましたが、会社や行政からタクシーチケットを渡されることがあります。なかなか使い方が難しいようで、お客さまも戸惑いながらご乗車してくることがよくあります。最近では、ワクチンの接種会場までのチケットが行政で配られるケースがありました。しかし、使い方が限定されているので、どうやって使ったらいいのか戸惑っているお客さまもいました。



 タクシーチケットとは何か


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大まかに言うと、運賃を後払いするためのシステムです。誰が払うのかというと、もちろんチケットについての契約をした企業や自治体などです。


その契約の内容によって、用途や限度額などが変わってくることが、このシステムを複雑にしている理由です。タクシー会社によってシステムが異なりますし、どういう契約をするかによっても変わってきます。なので、チケットによって使い方が変わるというのが正解です。


まずは、失敗しない使い方を説明しておきます。それはチケットの裏面にある説明をよく読んでみましょう。どのタクシー会社を利用できるのか、使用期限、限度額などが印刷されています。気をつけなければいけないのは、目の前にいるタクシーがどの会社のものかを判別する必要があることです。タクシー会社は非常に多く、それぞれ個性があるので知れば知るほど面白いのですが、簡単に解決できる方法をご紹介します。タクシーに乗る前に運転手に「このチケット使えますか?」とチケットを見てもらってください。そうすると運転手がチケットの裏面を見て、使えるかどうか判断するはずです。もしかしたら「よくわからない」と言われることもあるかもしれません。そのときは他のタクシーを探すか、会社に電話して確認してもらうといいかもしれません


とはいっても、自社で使えるチケットかどうかを判別するのは実は少し難しいので、会社に問い合わせてもわからないということもあります。著者の場合にも、実際にそういうことがありました。というのも、他社が発行したチケットについてはよくわからないからです。それならば、「使えない」と言えばいいのですが、提携しているグループのチケットが使えることもあります。


とにもかくにも運転手に問い合わせるのが一番確実な方法です。時間に余裕のある時は、事前にチケット記載された問い合わせ先に連絡してみると、より確実です。


もう一点、大切なことがあります。会計時には、乗車時間や金額などをお客さま自身の手で裏書きする必要があります。運転手の指示に従って記入するようにしてください。不正防止を目的として、タクシードライバーは裏書きを一切してはいけないことになっています。なので、あとで書いておいてくださいといっても通じないことがほとんどです。なぜなら、タクシードライバーが実際よりも高い金額を書き、お客さまを降ろしたあとさらに車を走らせたら……。簡単に不正ができてしまうからです。


 タクシーチケットがややこしい理由


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どのチケットをどう使うのか、と一概にはいえない理由としては、前述の通り、タクシー会社や契約によって使い方が違うからですそれがややこしい理由でもありますが、知れば知るほど面白いところでもあります。お客さまによっては、ご贔屓のタクシー会社がある方も多いです。4社の中で、日本交通しか乗らないとか、あるいはkmしか乗らない、という方もいます。4社のタクシーではなく個人タクシーが好きという方もいますし、逆に個人タクシーだけは絶対に乗りたくないからどれだけ待っても他のタクシーを探す、という方もいます。そうなってしまう理由の一つとして、苦手なドライバーに当たってしまったことが原因になっている場合があり、だからこそタクシー業界では接客・接遇に力をいれているのが昨今です。


お客さまに対する対応についても各社違っていますし、そのあたりをドライバーに聞いてみると会話が弾むこともあります。「運転手さんのタクシー会社はどこにあるんですか?どんな会社ですか?」などと軽いトーンで聞いてみると、思ってもみないディープな世界が覗けるかもしれません。著者はタクシードライバーですが、勉強も兼ねてよく客としてタクシーを利用します。その際は、会社の事情とか、どこで稼いでるのかとか、「ヤバいドライバー」が身の回りにいるのか、などを聞いています。


さて、ここで改めてタクシー会社の分類について説明します。大手4社と準大手、大手無線グループ、その他に分類することができます。大手4社とは、大和自動車交通、日本交通、帝都自動車交通、国際自動車(kmタクシー)で、頭文字をつなげて「大日本帝国」と呼ばれることもあります。ちなみに、東京には大日本交通というタクシー会社もありますが、4社ではなく後述する東京無線のグループなのでここには含まれません。


大手4社のことを、その名もズバリ「4社」といいます。戦後から東京のタクシー業界を牽引してきた会社で、提携しているグループ会社も多数あります。車両上部についている行灯には、kmや大和などの文字が見えますが、よくみると車体には会社名が書いてあります。これを4社の本体とグループ会社という区別があります。決済方法や使えるタクシーチケットなどは同じなので、客として使う場合にはどちらでも変わりはありませんが、ドライバー勤務条件については全然違うので、そのあたりを質問してみると面白い話が聞けるかもしれません。


準大手として名前があがるのは日の丸自動車、東都自動車、グリーンキャブの3社が多いです。他に、東京無線グループ、チェッカー無線グループなどに所属する会社も多数あります。このように、タクシー会社は細かく分類されており、それぞれの契約やシステムが異なっていることが、チケットの使い方を難しくしているのです。


 タクシーチケットの仕組み


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これだけややこしい状況にもかかわらず、どうしてタクシーチケットが存在するのでしょう。理由はいくつかあります。まずは、タクシー会社にとってメリットがあるからです。タクシー会社としては、自分の会社やグループのタクシーを選んで乗って欲しいと思っています。そのため、自分の会社やグループでしか使えないチケットを発行することにはメリットがあります。


個人のお客さまだけでなく、大きな会社や官公庁などと契約することができれば、それだけで売上が飛躍する可能性があります。大口契約ではなくても、営業所の近くにあるお客さまと契約して使ってもらうローカル営業をしている会社もあります。契約する会社にとって大きなメリットになるのが、決済を一律化できることです。


例えば、チケットなしでその会社において月にタクシーを使う回数が100回あるとした場合、経理の処理として100枚のレシートを一つ一つ打ち込む必要があります。1000枚ならさらに大変ですし、大きな会社ではそれ以上ある場合もあることでしょう。1000枚の領収書を点検しながら正確に記帳していくためには、相応の人件費がかかります。


また、領収書をなどの帳簿書類については7年保存しておく義務があります。月間100枚の領収書が必要となる会社の場合、年間1200枚、7年間で8400枚になります。そして、万一経理のミスが起こった場合には、8400枚の領収書の山をひっくり返して点検する必要があります。タクシーチケットを使えば、支払いを月単位で一律化することができるため、この大変な作業をする必要がありません。管理コストを大きく減らすことができるのが、企業にとってはメリットになります。


契約する会社にとっての最大のメリットは、顧客に対してタクシー代をスマートに支払えることです。いったん顧客にタクシー代を建て替えてもらい、あとで領収書を受け取って精算するのは手間ですし、形式上は顧客にお金を借りることになってしまいます。そこで活躍するのがタクシーチケットです。現在は、アプリの事前決済機能を使うこともできるので、タクシーチケットが無二の方法というわけではありませんが、一昔前はスマートフォンなんて影も形も存在していませんでした。そんな時代に、顧客のことを考えるならばタクシーチケットを契約するのが最上の方法でした。


今では、経費節減としてチケットを発行する機会が減ってきてしまっているようです。そのため、タクシードライバーも、チケットを目にする機会が減り、そのチケットが使えるかどうかわからないというケースが発生していました。特定の行政区でしか使えないチケットもあって、500円まで、1000円までというように金額が指定されていることもあります。最近の例だと、コロナウィルスに対するワクチン接種の会場に行くことのみに使用できるチケットがありました。


これらは区によって利用法が違うので把握するのが大変でした。バブルの頃、夜の繁華街には、チケットをひらひらさせながらタクシーを探しているお客さんがいたそうです。タクシーの需要に対して、供給がまったく足りていなかったのだそうです。そんな時代に蔓延したのが乗車拒否ですが、いまでは乗車拒否が発覚すると厳しい罰則があります。バブルの時代はタクシーの数が足りないので、チップで1万円を余計に払ってくれるお客さまもいたと聞いています。そんな時代が戻ってくると、タクシードライバーとしても嬉しいのですが、日本の状況を鑑みるとそんな時代はもう来ないような気がしますし、期待しないほうが良さそうです。


 タクシードライバーから見たチケット


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実はタクシードライバーからすると、タクシーチケットは嬉しい反面、少し怖いところがあります。というのも、もしも間違ったチケットを受け取ってしまうと、自分で精算する羽目になることがあるからです。これを恐怖の「自腹」と言います。


お客さまがタクシーチケットを使って支払いをしたあと、会社に戻って精算すると「このチケットは取り扱っていません」と言われてしまうことがあります。こうなった場合、お客さまが支払うべきだった金額をドライバーが補填しなければいけなくなってしまいます。「そのくらい会社が補填したらいいではないか」とお思いの方もいると思いますが、会社としても間違ったチケットを受け取ってしまったときの損失をかぶることができません。なので誰が損失を補填するか、という話になるのですが、ここはチケットを受け取ってしまったドライバーの責任になるケースがほとんどです。


このあたりはタクシー業界のブラックなところと言えなくもないですが、きっと昔はタクシーチケットを悪用するドライバーもいたのでしょう。具体的にどうするかまではわかりませんが、会社としてもチケットについては厳密にチェックすることになっています。


とはいっても、一番ロングが出やすいのがタクシーチケットの浪漫です。「チケット使えますか?」と聞かれると心がときめきます。1万円越えの万収は当たり前で、2万円越えの2万収も十分にありえます。熱心なドライバーの場合には、固定客になってもらうために話しかけて仲良くなろうと努力することもあります。


ただ、固定客になってもらったとしても、連絡を頂いたときにはどこにいたとしても駆けつけないといけないので、いいことばかりではありません。自分が非番のときには、仲間のドライバーに連絡して駆けつけてもらうなどする必要があります。稼ぐドライバーは固定客をたくさん抱えていますが、その分気苦労もあると聞いています。流し営業ならば、1時間に3回、4回と営業できますが、固定客からの連絡をいただいた場合には、1,2時間待たなければいけないこともあります。固定客は一切とらずに、流しだけで稼ぐ方が人間関係にわずらわされることがないというのも一つの真実でしょう。


 まとめ


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  • 持っているチケットで利用できるタクシーかどうか、運転手に確認する。
  • 裏書きはお客さまが自分で書く運転手は書くことができない。
  • 使い方はややこしいが、企業とタクシー会社にメリットがあるので使われ続けている。


改めて書いてみると、チケットの仕組みは非常に複雑でした。タクシー会社によってもシステムが違うし、お客さんになっている起業や団体によっても使い方が変わってきます。ドライバーをしているとまったく見たことがないチケットに出会うこともあるのですが、お客さまが酔っ払っているとなかなか難しい状況におちいります。運転手に確認すれば何とかなるのがチケットなのですが、運転手もよくわかっていないことがあるため、事前に使い方をしっかり把握しているのが一番確実です。

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