タクシー寮ってどんなところ?

公開日:2024/09/19 22:50


  • 人生を逆転したい。東京に行ってやり直したい
  • あるいは地方都市にいって人生をリセットしたい


そういう方にお勧めなのが、寮つきのタクシー会社です。タクシー業界に就職するためには、職歴も学歴も必要がありません。必要なのは、気力体力、そして一定の運転適性です。運転適性については、『タクシー転職に失敗しないための豆知識!』という記事に書いてありますので、そちらもぜひ読んでみてください。タクシー業界は常に人手不足となっています。どの会社も、ドライバーの高齢化が問題となっているからです。10年以上勤続したベテランドライバーが、個人タクシーとして独立してしまうこともあり、常に新しい人材を求めています。そのため、ドライバーへの福利厚生や、働きやすい環境を整えることには熱心なタクシー会社は多く、環境整備の一貫として寮を用意していることがあります。



 タクシー寮の種類


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寮には会社が所有している自社寮と、都度賃貸する借り上げ寮があります。ほとんどの自社寮は独身寮ですが、なかには家族寮を借り上げてくれるケースもあります。このあたりの対応は会社によってまちまちなので、入寮を希望する方はタクシー会社に詳しく問い合わせてみるのがよいでしょう。


自社寮が充実している会社は、ホームページに部屋の写真や間取りなどが掲載されていることがあるので、覗いてみてください。家賃についても会社によります。全額負担してくれる場合もありますし、一定の割合で負担してくれる場合などさまざまですさすがに細かい条件まではホームページには載っていないことが多いので、問い合わせてみてください。入寮するということは、その会社に就職するということなので、勤務時間、条件なども踏まえて、しっかり担当者に確認しましょう。


タクシー業界の特殊な事情として、寮と会社の位置関係については、よく考えたほうがいいと思います。一般的な会社の場合には、あまり会社に近すぎる寮は避けたいと思う方が多いのではないでしょうか。あまりに近すぎると急に呼び出されたり、飲み会を断れなかったり、休日出勤する羽目になったりする、などと勘ぐってしまうからです。また、オフィス街の中に寮がある場合には、暮らしやすいとは言えない場合もあります。具体的にはスーパーの選択肢が少ない、コインランドリーがないなどです。タクシー会社の営業所は都心から離れた周縁部にあることが多いです。つまり、暮らしやすい環境かどうかについては心配不要です。では、休日出勤などについてはどうなのかというとこちらも心配不要です。タクシードライバーのシフトは厳密に決まっていて、突然乗務する羽目になることはほとんどありません。というのも、タクシードライバーは休日に突然出勤することができないのです。


その理由は大きく分けて2つあります。1つは飲酒です。酒を一滴でも飲んでいたら、乗務できないからです。逆に言うと突然乗務するように万一言われたとしても「すみません、ビールを飲んでおりまして」といえば乗務はできません。もう一つの理由は、体調不良です。お酒を飲まないドライバーの場合でも、体調が悪い状態では、お客さまの安全を確保できません。従って乗務することはできません。ちょっとくらいの体調不良で休業するのは不真面目という価値観は他の業種ではあると思いますが、タクシーに関しては、自分の体調に向き合って無理なときは責任者と相談して休業するほうが正しいあり方です。こう考えると、タクシードライバーはいくらでもさぼることができる仕事です。


そのため、歩合制となっています。つまり、さぼるとその分だけ収入が減ってしまうことになります。なかなかうまくできています。根本的な対策として、一年中健康でいられるようにしっかり体調を管理することが求められます。話が少し逸れましたが、つまりタクシー会社で寮に入るならば、一般的な会社の場合に心配するようなことは、ほとんど起こらないことがわかります。


 タクシードライバーの寮生活


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タクシードライバーの勤務形態は特殊なので、入寮した後、どんな生活になるか想像がつかない方がほとんどだと思います。ここでは勤務形態に分けて、生活パターンの一例を紹介します。


まずは日勤についてです。「昼日勤」といわれる勤務形態の場合は非常に簡単で、朝出勤して夕方から夜に帰宅します。平日働いて土日が休みと確約はできませんが、タクシーのお客さんは平日のほうが多いため、日曜日は完全に休業する会社などもあります。このあたりは会社のシステムが希望に添うかどうかの問題なので、個別に相談してみる必要があります。昼日勤の場合には、乗務数は月22〜26回程度です。乗務数が半分の11~13回程度になる定時という契約もありますが、入寮する場合にはフルタイムで働くことが前提になるでしょう。


昼日勤とは逆に、「夜日勤」と呼ばれる勤務形態があります。タクシー業界では「ナイト」と呼ばれることもありますが、この働き方が一番稼げると言われています。夜に出庫して、朝方帰ってくる勤務スタイルであるため、公共交通機関が走っておらず、しかも深夜割増料金の時間帯に営業することができるからです。深夜の時間帯は長距離を移動するお客さまも多いので、人によっては月の売上が120万円を超え、月収についても70万円以上、年収に換算すると850万円以上になる場合があります。非常にハードですが、得るものも大きい、ハイリスク・ハイリターンの働き方と言えます。夜日勤をしているドライバーは、精神的にも肉体的にもタフです。決して弱音を吐かず、夜の街を駆け抜けていきます。すぐに弱音を吐いてしまうタイプの人は、なかなかナイト営業を続けることはできません。戦うのは夜の街、乗せるお客さまは、概ね酔っ払っているわけです。


さて、夜日勤の場合はどんな生活リズムになるのか。会社にもよりますが、出勤は16〜18時ころです。勤務時間は8〜10時間程度です。最速で帰庫する場合には、16時に出庫して24時過ぎには帰ってくるということも可能とは思いますが、22時から翌日5時の深夜割増時間、業界用語でいう「青タン」と呼ばれる時間帯を外すナイトのドライバーはほとんどいないと思います。朝方は5時ころに帰庫するドライバーもいますし、朝の通勤時間におとずれる営業チャンスをしっかりと活かして8時過ぎに戻る人もいるようです。いずれにせよ、仕事が終わるのは早朝です。帰庫したあと、洗車や精算処理をした後、帰寮することになります。勤務形態にもよりますが、眠りにつく頃には明るくなっていると思います。人によっては晩酌をすることもあるでしょう。いや、正確にいうと「朝酌」ですね。夜日勤の場合に大切なのは、しっかり寝て、体力を回復させることです。睡眠不足や体調不良の状態で乗務に出ると危険ですし、勤務時間の間フルパワーで動いていないと売上もあがりません。朝方帰ってきて、しっかり休めるというのは、ある種の才能です。この適性があるかどうかが、夜日勤を続けるためには重要です。朝方8時に眠りにつき、7時間ぐっすり眠れた場合は15時に起きることになります。起きたらすぐに次の乗務への準備がはじまります。


このように、タクシードライバーの日々はとても忙しいので、営業所と寮との距離が重要になってきます。近いほうがいいという人もいれば、あえて離れたところを選んで、通勤時間にスイッチを切り替える、という人もいます。このあたりは人によるので、どういう働き方が自分にあっているかをしっかり検討する必要があります。翌日が休日の場合は、夕方頃から遊びに行くこともできますが、それ以外の日はしっかり身体を休めるドライバーが多いです。休日の数は月に6〜8日程度が一般的です。ということは人によっては、月に24回夜勤をすることになります。とてもハードですが、夜の街と運転を愛するタフなナイトドライバーは、鼻歌交じりに駆け抜けていきます。


もう一つの働き方は、隔日勤務です。大まかにいうと、2日分を一気に働いて、1日休みます。この隔日勤務が、タクシー業界のスタンダードです。早番の場合は、朝方に出勤します。出勤時間は、選べる場合と指定される場合があります。たとえば8時に出庫する場合、点呼や車両の安全点検などがあるので、7時頃には出社します。なお、点呼の際にアルコールチェックをして、少しでも検出された場合には、その日の乗務はできません。そのまま帰宅させられることになります。基本的にはこっぴどく怒られます。8時に出庫した後、戻ってくるのは最短でも17時間後です。つまり、深夜1時です。最長で深夜4時です。途中で3時間の休憩を取らなければいけないことになっていますが、いつ休憩をとるのか、また、どこでどのように営業をするのか、出庫している間は基本的にドライバーの自由です。


 人生逆転へ


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著者の知っている範囲ではありますが、寮に入りたいという方に多いのは、地方から出てきてやり直したいという方が多いです。借金を抱えてしまい、家賃が払えなくなってしまったというケースも聞いたことがあります。こういった場合に、寮付きの仕事を探し、結果としてタクシードライバーを志すというケースもあるそうです。実際に急な不況になると、寮付きの会社への問い合わせが急増するそうです。


タクシードライバーはある程度の収入が期待できますし、寮に入ってしまえば生活上の不安もなくなります。自分で安い物件を探して、アルバイトなどで食いつなぐよりも、ずっと安定した生活を期待することができます。タクシーの仕事は決して楽ではありませんので、会社のほうもそのくらいの覚悟でやってくれるドライバーを歓迎しているところがあるように感じます。もちろん、会社によっても違いますし、売上至上主義でノルマが厳しいところも聞いたことがあります。しかし、事情があって生活に苦労しているドライバーの話を親身に聞いてくれて、タクシードライバーとしてやっていくために色々と考えてくれる人が多いのもこの業界の特徴の一つです。


タクシー業界にいる人は、決してエリートではありません。大手企業に就職して出世コースにはまって……、というような人はあまりいません。もちろん、大きなタクシー会社に新卒として入ってくる人もいますが、大抵の場合には、何らかの挫折を経て、タクシードライバーになることを選択しています。そんなドライバーが集まって、町の平和を保つためにタクシーを操ります。町の平和というのは大げさかもしれませんが、もしもこの世にタクシーがなかったら、時間に間に合わなかったり、ずぶ濡れになったり、あるいは、飲み過ぎた後に帰宅できずに離婚の危機に陥るなんてことまであるかもしれません。タクシーの料金は安いとは言えませんが、タクシーに乗るお客さまがいるということは、タクシーが世の中に役立っているということです。


そういった世の中の役に立つ仕事をしながら、月収50万円以上を稼ぎ、貯金をしていくことができます。50万円は難しいという人でも、東京や神奈川の都市圏であれば、ある程度の収入を見込むことができます。タクシードライバーは正社員であるため、法律でも保護されています。不当に解雇されることなどはなく、各種保険に入ることもできます。そのままタクシードライバーとしてやっていくのもいいですし、たとえば飲食のお店を持つための勉強を裏で続けてもいいと思います。街には飲食店の情報が溢れています。どの立地のお店が繁盛しているのか、お客さんの評判はどうなのかなど、生々しい情報が入ってきます。タクシードライバーをうまく使えば、どんな状態からでも安定した未来が描けるのではないかと考えています。


 まとめ


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  • 寮の情報は会社のホームページで確認
  • 会社から近いか遠いかは、働き方のスタイルに合わせて選ぶ
  • タクシードライバーで人生は逆転できる!


タクシー寮という特殊な環境について書いてきましたが、イメージはできましたでしょうか。寮があるかどうかは、会社のホームページなどから確認できますが、詳細な条件については問い合わせてみないとわかりません。他の業界のように同僚と生活を共にするストレスは、比較的小さいのは良いところだと思います。タクシーの仕事は合う、合わないがあって、身体に合わない人にとっては辛い仕事になってしまうこともあります。一方で、うまく適応した場合には天国のような仕事だと感じる人もいます。困っている人を助ける仕事なので非常にやりがいがありますし、高収入も見込める仕事です。是非、タクシードライバーをしながら、美しい未来予想図を描いて下さい。

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