タクシー会社に就職するには保証人が必要?その理由とは?

公開日:2024/09/20 00:52


タクシー会社に就職する際に保証人が必要な場合があります。実はタクシー会社でなくても、就労するにあたって保証人を契約書に記載するよう求められる場合があります。保証人と聞くと借金などをする際の連帯保証人をイメージして驚いてしまう人もいるでしょうが、もちろんまったく別のものです。


この場合の保証人は、これから契約して社内に入る人間が、会社に対して損害を与えないということを保証するためのものです。近年は「反社会的勢力」とのつながりなどに厳しいため、身元保証人を必要とする会社が増えていると考えられます。それはタクシー会社も同様です。


というわけで、タクシー会社に就職するのに保証人が必要なことが多いのは事実です。本稿ではこの就職時に必要な保証人について、もし保証人になれそうな人がいない場合に就職したい方はどうすればいいのかなどを解説していきます。



 タクシー会社への就職で保証人が必要な3つの理由


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タクシー会社に就職する際に身元保証書の提出を求められることがあります。この身元保証書に記載するのが身元保証人です。大手タクシー会社は必須と言われています。ここで疑問に思う方もいるかもしれません。なぜタクシードライバーになるのに保証人が必要なのでしょうか。その理由を解説していきます。


理由1:ドライバーが病気やケガになったときのため


理由の一つは、ドライバーが病気やケガで病院へ行ったときの身元引受人が必要だからです。


座って運転し続けるタクシーの仕事は肉体労働の側面があります。そのため体に不測の事態が起こりえます。そこはデスクワークと同様で、長時間座った姿勢のままなのは体に差しさわるのです。突然痛みが起きたり、病気になったりするかもしれません。睡眠も不規則になりがちで、中高年が務めていることが多いため、睡眠時無呼吸症候群成人病などを煩うこともあります。


そして何よりもタクシーの仕事は交通事故と隣り合わせです。ドライバー自身は気をつけすぎるくらい気をつけていても、交通法規を守らない相手にぶつかられることがあります。交通事故が身体に与えるダメージは非常に大きいです。私が事故を起こしてしまったときは、非常に軽度の事故で、身体に被害はないというレベルだったのですが、首がシクシクと痛むような感覚が2週間くらい続きました。中には大きなケガをして引退してしまう人もいます。


ともかく事故などのトラブルによって、救急病院に搬送されることもあります。その時はまず就労しているタクシー会社へ連絡があります。しかし、会社の人間は当たり前ですが他人です。特にタクシー会社は横のつながりが希薄な傾向にあるため、ドライバーのことをよく知っている人がいないということが起こりえます。というのも、ドライバー同士、あるいはドライバーと内勤職員が雑談をする時間がほとんどないからです。出庫と帰庫の時にすこし立ち話すくらいのものです。そのため入院後の面会や治療に対しての意志確認などは行えません。そこで本人とつながりが深いであろう保証人に連絡をし、病院へ行って面会してもらう必要があります。万が一亡くなるような場合は、なおさら保証人が必要になります


理由2:会社に損害を与えた際の所在確認のため


ドライバー本人と連絡が付かなくなった場合、保証人に確認してもらう必要があります。契約をしているにもかかわらず、出勤をしないことも会社にとっては損害になります。その保証人も本人と連絡が取れないときは、所在確認をお願いし、場合によっては警察に届け出をしてもらわなくてはなりません。保証人の方が知人であるならば、家族や血縁関係のある方に連絡してもらうことも考えられます。いわゆる「バックレ」は他の業界でもあると思いますが、タクシー業界でも当然あります。シフトが狂うと会社に大きな損害が出ることもあるため、非常に困ったことになります。また、社内で事件を起こすことや、悪質な運転などの故意の過失によって事故になった場合も保証人に連絡をすることがあります。


理由3:金銭面の担保


3つ目の理由は、タクシー会社からドライバーに支払われたお金を、何らかの理由で返金してもらう場合に備えての保証人です。


タクシー会社に就職すると、業界特有の会社からのお祝い金、第二種免許取得のための費用を会社から出してもらうことがあります。ただこういった金銭的なサポートには条件があることが多いです。就職後に短期間で退職してしまう、実際にタクシー業務を始めても売上が非常に低すぎる、などの理由でタクシー会社に損害とまではいかなくても、利益を与えられなかった場合には返金してもらうという条件です。このようなお金の貸し借りに近い対応での保証人は、いわゆる連帯保証人的な立ち位置になります。いずれにしろ保証人についてと、金銭のサポートとその条件については就職する前に確認しておくべきです。求人情報をチェックし、問い合わせしておく必要があるでしょう。


 タクシー会社に就職するための保証人は誰に頼むのが正解なのか


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ではどのような人が保証人にふさわしいのでしょうか。前述の保証人が必要な理由から考えると、一定の収入がある成人ということが分かります。資格がいるわけではなく、一般的には両親、義理の両親、妻、兄、弟、姉、妹などの三親等までの親族になるでしょう。ただ保証人に両親以外を指定する会社もあり、そういったことも事前に確認しておく必要があります。


なお、あくまで保証人には収入がある人という規定があり、自分の親族が定年を迎えている場合にタクシー会社によっては認められないことがあります(年金の受給や資産運用による収入でもOKな場合もあります)。またそもそも保証人になれる年齢に制限があることも多いのです。あまりに高年齢だと断られてしまうことも。そこで親しい友人・知人に頼まざるをえないこともあるでしょう。


しかし、故意ではなくともトラブルになることはあり、保証人に負担をかける可能性はゼロではありません。そのため心情的には親族が望ましく、知人であっても相当親しい間柄の相手をお勧めします。


 タクシー会社の保証人になってくれる人がいないときは?


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保証人がどうしてもいない場合、タクシー会社に就職はできないのでしょうか。答えはNOです。


まず本稿を見ているあなたが中高年であれば、両親を含む親族がすでに亡くなっている、あるいは定年を迎えていて収入がないこともあるかもしれません。保証人になってもらえるほど親しい知人がいないこともあるでしょう。このように、どうしても保証人が見つけられない場合をタクシー業界は想定しており、下記の2つの対応を提案できます。


保証人代行サービスを利用する


あなたに保証人のあてがなく、タクシー会社側は保証人がなければ契約できない場合には、保証人代行サービスを利用する手があります。このサービスはお金を払って保証人を紹介してもらうものです。「保証人 代行」といったワードで検索すると数多くの会社やNPOが出てきます。就職だけではなく、賃貸物件の契約や学校の入学などで使われているようです。


しかしタクシー会社のなかには保証代行サービスを認めない会社もあります。あなたが保証人のあてがなく、それでも保証代行を利用してタクシー会社に就職したいのであれば、前もって問い合わせて確認しておく必要があります。


なお、そもそもタクシー会社が保証代行会社と契約しているパターンもあります。代行会社が展開する身元保証サービスを利用し、ドライバーを雇用しやすくするものです。代行会社のなかには、就職希望者が一定の就労期間経過前に退職してしまった場合に免許取得費用を補償するサービスもあるようです。ある保証代行会社は、複数のタクシー会社と提携してそれぞれの会社で保証人代行サービスを受けられるようにしています。


タクシー会社に相談する


とにかく就職希望のタクシー会社にまずは相談してみましょう。身元や職歴自体がしっかりしていて、面接でもまじめな人間性を伝え、信用を勝ちとることができれば、保証人なしでも採用してくれることがあるかもしれません。なぜなら多くのタクシー会社は慢性的に人手不足だからです。ただその場合、保証人ありきの条件面などをつめる必要はありそうですが。相談した時点で前述の保証人代行サービスを紹介されることもあります。いずれにしてもあきらめず、正直に話をしてみることをお勧めします。


また、採用基準については大手がもっとも厳しく、大手のグループ会社や中堅会社、中小のタクシー会社と次第に基準がゆるくなっていく傾向があります。なので、最大手に断られたからといってあきらめる必要がありません。大手の行灯で営業したい場合でも、グループ会社をまわれば採用されることもあります。それでも難しい場合でも、多少条件が悪くなることはあるかもしれませんが、他にもタクシー会社はたくさんあります。親身に話を聞いてくれる会社を探しましょう。


 保証人不要のタクシー会社はないのか


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保証人がいない方を雇用するタクシー会社も存在します。保証人代行サービスを使わずに、です。


その場合には就職選考が厳しくなったり、条件面が変更になったりするようです。タクシー業界と言えば、普通免許さえ持っていれば年齢性別にかかわらず就職できるイメージです。しかし保証人がいないとなると話は別で、選考では細かいところまでチェックされる可能性があります。


条件面については、いわゆる“祝い金”と呼ばれる支度金や二種免許の取得費用がもらえないことが考えられます。これらは短期間で離職しないこと、そもそも無言でいきなり退職したりしないこと、そして連帯保証を前提にした条件だからです。金銭面の条件については、最初に支払われ、それから給与から天引きになることもありそうです。基本的にはドライバーがお金をもらえるシステムなのですが、会社としてはそのまま逃げられると大損をしてしまいます。そのため保証人を用意してもらうわけです。


求人サイトをチェックしてみると「当社は保証人不要」と書いてある求人広告に気付くはずです。ただこの項で書いた通りの可能性もあるので、求人情報をよく確認するのはもちろん、条件について直接問い合わせることをお勧めします。条件については、保証人のことだけではなく、どんなに細かいことでも聞いた方がいいと思います。その際に不信感を感じたら別の会社に行くというくらいのほうがいいとまで言えます。というのも、タクシー会社は戦後すぐからあるような古い会社が多いため、社内規定や給与システムが古いこともあります。


場合によっては時代にあっていなかったり、勤務するうえで納得がいかなかったりということもあるかもしれません。そうならないように、入る前にしっかりと話を聞いておきましょう。完璧なタクシー会社はないので、稼げる会社でもノルマが厳しかったり、ノルマがゆるいと思ったら何らかの勤務条件が厳しかったりします。そのあたりはたで食う虫も好き好きです。自分にフィットした会社を探してみてください。


 まとめ


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  • タクシー会社への就職には合理的な理由で保証人が必要である
  • 保証人代行サービスを検討してみる。タクシー会社が保証人代行会社と提携して代行サービスを行っていることがある
  • 会社によっては交渉で保証人がいなくても就職できる可能性がある


本稿ではタクシー会社に就職するための保証人について解説してきました。タクシー会社の多くは保証人ありきでの好条件を提示し、それで成立しています。そのため就職する側も保証人はできるだけたてられるように努力できると、会社側も就職希望者もWIN-WINになります。


ただタクシー業界は、一般的な転職よりも高い年齢で未経験から飛び込んでくる方もいます。そうすると親族はかなり高齢の可能性があり、収入や年齢の面で保証人になれないこともあります。またさまざまな“ワケあり”で再出発をしようとタクシードライバーを目指す方もおり、この場合には親族も知人も頼れず、どうしても保証人が見つけられないということも考えられます。


その場合には就職したい会社に「保証人のあてがないが、保証人代行サービスは利用できるのか、条件面を変更してでも保証人なしで雇用してもらえないか」とまずは問い合わせてみることをお勧めします。また保証人不要の求人を探してみてもいいでしょう。ただし条件面はしっかり確認しなければいけません。どうしてもタクシードライバーになりたければ、ぜひ本稿の内容を認識したうえで就職活動してみてください。

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