MAXでどれぐらい稼げるの?

公開日:2024/12/29 12:43


タクシードライバーは稼げる仕事。そんな言葉を聞いたことがある方もいるのではないかと思います。実際にタクシー業界に転職してみて思ったのは想像以上に稼げるということでした。歩合制の仕事なので確実ではありませんが、普通にやっていれば年収500万円くらいには到達できます。これまでの職歴が問われず、特別な資格も必要としない仕事としては破格の収入を得られます。もちろん二種免許は必要となりますが、これも1週間くらいの講習を受けるだけで、すぐに取ることができます。運転免許の取得のためには2〜3ヶ月かけて教習所に通う必要があるのが一般的です。ただタクシードライバーの場合には、タクシー会社と契約している教習所に通うと、早く取ることができます。


もちろん、必要な講習のコマ数については法律で決まっているために減らすことができません。そのため、普通免許の保持者であれば、1週間程度で免許を取得することができます、しかしながら、毎日朝8時から暗くなるまで講習なので決して楽ではありません。途中の休憩時間も短く、ご飯を食べるとそれだけで終わってしまいます。筆者はあまりにも座学がつらいので、実技の時間が楽しみに感じられたのをよく覚えています。ちなみに講習費用については、30万円程度かかりますが、タクシー会社が負担してくれることがあります。その場合、一定期間以上勤務をすることなどの条件がつくことがありますので、よく確認するようにして下さい。



 タクシードライバーの収入を決めるシステムについて

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繰り返しになりますが、タクシードライバーは稼げる仕事です。ここではまず標準的な仕事の仕方でどのくらい稼げるのかと、理論的にどのくらいまで稼ぎを高めることができるのかを検討してみましょう。結論だけ言うのではなく、この場で計算もしてみますので、タクシードライバーの給与計算について詳しくなれるのではないかと思います。


給与額に関係する重要なファクターは、乗務日数残業時間歩率、そして営業収入です営業収入というのは1日あたりの売上のことです。消費税抜きで計算する場合は抜き消費税込みで計算する場合には’’込み’’と言います。基本的に給与計算は抜きで行いますが、個人タクシーの場合には計算が変わってきます。というのも、年の売上が1000万円を超えない事業社は消費税の支払いが免除されるからです。個人タクシーのドライバーでは1000万円を超えないという目安で仕事をしている方もいるのではないかと思います。


個人タクシーは法人タクシーのドライバーと違って個人事業であり、様々な裁量が認められています。また、個人になるためには10年以上乗務をすることが必要なので、この記事では法人タクシードライバーを中心に考えます。


まず営業収入どのくらい残業するかで変わってきます。タクシーの仕事は長時間働いてもそれほどきつくはなく、残業できるマックスまで働くドライバーが多いです。なので、残業は最大まですることを一つの基準としたいと思います。もっとも多い働き方である隔日勤務の場合には、拘束時間は21時間で、そのうち乗務時間は20時間まで、その間に3時間の休憩を挟みます。労働基準法においては1時間以上の休憩を取れば問題ないと聞いたことがありますが、適切な休憩時間を取ることは安全性にもつながりますので、社内規定によって3時間しっかり車輪を止めて休むなどが定められていることがあります。


というわけで約17時間の間にいくら稼ぐかが勝負となります。ただ、隔日勤務の場合には月あたりの乗務時間が262時間と定められています。昼間だけ、夜間だけ乗務する日勤については最大の乗務時間が299時間となり有利です。また、エリートタクシードライバーを悩ませる距離制限も隔日勤務よりも昼日勤、夜日勤のほうが楽です。


隔日勤務の場合には365kmまでしか車を走行させてはいけないという縛りがあります。日勤の場合でも270kmまでしか走行できません。なので、距離が出すぎてしまうと、帰庫する必要があります。この距離オーバーについてはそうそうあるものではないのですが、いつもロングのお客さまを見つけてくるエリートタクシードライバーにとっては、距離の制限がかなり厳しい縛りになります。なので、距離が足りなくなるほどお客さまを見つけられるドライバーの場合には、夜日勤に切り替えるほうがいいのでしょう。というわけで稼げるというと夜日勤になります。夜と昼では、夜の客さまのほうが長距離を移動するのと、深夜割増料金があるため、夜日勤のドライバーはより稼ぐことができます。


最後に歩率です。100%だとすべてドライバーが取ることになり、0だとすべて会社が取ることになります。この歩率は東京ではおおむね50〜60%程度に設定されています。歩率の設定が高い会社では70近いところもあるようですが、その分諸費用の負担があったり、歩率を高水準に保つためのノルマが厳しいなどのデメリットがあったりする場合もあります。


という前提を話したところで、夜日勤のドライバーの年収がどこまでいくのかを考えてみましょう。


 タクシードライバーのMAX月収、年収とは?

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まず隔日勤務の場合ですが、平均の営業収入が税抜き8万円がマックスと言っていいと思います。これ以上いく人もいるかもしれませんが、基本的に営業日にはそこまで稼ぎづらいです。土日や月曜日も含まれますし、一番稼げる金曜日に毎回乗務が割り当てられるわけではありません。平均7万円を超えるだけでも相当のものですし、超人級の働きをしないと平均8万円を達成することはできないと思います。


なので、理論的な最大値を8万円に設定しましょう。想定できる最大の歩率として65%とします。月の乗務回数は最大限までやったものとして13回です。すると1乗務あたりの収入が5万2000円となるため、13乗務で67万6000円です。年収換算をすると811万2000円となりました。このあたりが隔日勤務の最大値といえます。もっとも年収1000万円近いと公言するドライバーもいるので、特定の上顧客をもつなどすれば、さらに稼ぐ方法もあるのかもしれません。


さて夜日勤の場合はどうでしょうか。夜日勤は最大の乗務時間が12時間程度です。ここでは11時間としましょうか。最大で26乗務をすることができるのですべて営業したものとします。26乗務となると、月の休みが4〜5日となってしまうため肉体的に非常にハードです。よほど体力が余っている人か、借金苦やお金がとにかく必要で働かないことにはどうにもならない人などを除いて、26乗務することはあまりないような気がします。とはいえ、ここでは最大値を求めるので26とします。


1乗務当たりの平均営業収入については、著者が夜日勤を経験したことがないのであまり実感が湧かないのですが、よく稼ぐ人は5〜6万円くらいはいくように思います。平均7万円まではちょっと難しいのではないかという感覚があるので、ここでは平均して6万円とします。歩率が65%の場合、1乗務あたりの収入は3.9万円となります。一晩の夜勤の給料と考えるとこれがいかに高い水準なのかわかると思います


さて、その高い水準を月に26回続けたとすると月収101万4000円となります。これが12ヶ月続いたとしたら1216万8000円です。実現はかなり難しいのですが、このあたりの数値がタクシードライバーとして稼げる最高年収の理論値だと言えます。つまり隔日勤務だと年収800万円程度、夜日勤だと1200万円程度です。逆に言うと法人ドライバーで1500万円とか2000万円に達することはできません。


もっとも、副業を組みあわせる場合には別ですし、タクシードライバーは副業しやすい仕事ではあります。ただ、それを言い出すとキリがないので、副業は含まないものとします。なおこの理論上の数字は、タクシードライバーの仕事にすべてをつぎ込まないことには達成できないと思いますので、副業をした場合には、タクシーの収入は必然的に少し下がると思います。もちろん、超人級の体力がある方は別ですが……。


 タクシードライバーが目指せる現実的な収入とは

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理論値としての収入をみてきましたが、これはかなり難しいと思います。というのも月13乗務をするとかなり疲れるからです。中には13乗務をしても平気だという強者もいますが、私はヘロヘロになってしまいます。夜勤で26乗務については、毎月達成することはかなり難しいと思います。普通の勤務で言うと休みが週1で、毎日残業をしなければいけない状態です。法的に認められているギリギリではありますが、かなり疲労すると思いますのでお勧めはできません。筆者の周りでは、夜日勤のドライバーは22〜24乗務程度で調整していました。26乗務というドライバーは身の回りにはいませんでした。


また長時間乗務をしていると事故や違反のリスクも高まります。特に疲労しているとそのリスクは跳ね上がっていきます。毎月300時間路上で運転していると言うことは年間3600時間ということになります。1乗務あたり200kmで26乗務とした場合には毎月5200km、年間6万キロも運転することになるのです。しかも高速道路での移動が多い長距離トラックドライバーとは異なり、取り締まりが多く、事故のリスクも高い下道を走ることになります。


疲労そのものも厄介な問題です。夜間の勤務については、適性がない人には地獄ですし、適性があっても毎日帰宅して眠り、起きてはすぐにタクシーに乗る暮らしは精神的に楽とは言えません。よほど強い目的意識がある人か、タクシーの仕事が面白くて仕方がない人以外は、そこまで多くの乗務をすることは不可能だといえます。


では現実的なラインはどの程度かについてです。まずは隔日勤務からみてみましょう。13乗務しても平気という人は身の回りにもいますが、ここは少し余裕をみて12乗務とします。営業収入が平均で7万円という人も存在しますし、景気次第ではありますが十分に目指せます。この場合、1回の営業で得られる収入が4万5500円です。これを12回なので月収は54万6000円となります。さらに年収に換算すると655万円です。会社に一人はいるすごく稼いでいるエース級のドライバーは年収600〜700万円くらいという感触です。


夜日勤の場合はどうでしょうか。平均で5万円というのは目指せる水準だと思うのでこのくらいにしましょう。月あたりの乗務回数は週2で休める24回とします。すると1日当たりの収入が3.25万円なので、月収に換算すると78万円です。年収に換算すると936万円となり、非常に高い水準の給料と言えます。夜勤の場合には、昼夜が完全に逆転するため適性が必要です。ドライバーでも夜日勤はやってみたもののきつかったという声が多いです。仮に適用したとしても、事故や違反などで免許証の点数を失ってしまい十分に勤務できないこともあります。点数だけならいいのですがケガをしてしまうリスクもあります。


ここまで計算しておいてなんですが最高年収を出すことを目標とせずに、毎日無理のない運転をしながら少しずつ稼いでいくほうが、長い目でみるときっと良い結果がでることでしょう。


 まとめ


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  • タクシードライバーは歩合制となっているので稼ぐためには勤務時間を増やす必要がある
  • 理論値としてのマックス収入は隔日勤務の場合には800万円程度、夜日勤の場合には1200万円程度
  • 無理をして収入を求めると事故や違反のリスクもあるため、自分の適性と体力を鑑みて、無理のない営業をしていくことが大切


タクシードライバーの収入について考えてみましたがいかがでしたでしょうか。タクシーで稼ぐためには地理の知識やテクニックがあることは必要不可欠です。しかし、それ以上に重要なのが不屈の体力があるかどうかなのです。なぜなら一年間フル稼働できなければ、いくらテクニックがあっても年収単位にするとあまり大きなものにはならないからです。さらに乗務中に高いパフォーマンスを保つためには、休みの時間もしっかり休む必要があります。そのため深酒をしたり、睡眠不足になったりすることは禁忌となります。ストイックに収入を追い求めて働くと理論値に近い収入になることもあると思います。


ただ、借金を返すために数年間集中してタクシーをしたいという方は止めないですが、生涯やっていこうと思うと事故や違反のリスクもありますので、もう少し加減して無理のない営業をしていくべきだろうと思います。というのも事故や違反をしてしまうと、事情聴取や現場検証などが必要になります。その間に仕事をする時間が削られるため、収入も減少していくことになります。さらに、罰金は自己負担であるため、それも非常に痛いです。自分の体力や気力の限界を見極め、無理のないように営業をしながら、その収入でも十分に楽しめる日々をみつけるのがタクシードライバーとしての幸福論ではないでしょうか。

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