東京ハイヤー・タクシー協会 懇親会に国会議員や都議会議員東タク協が令和4年度通常総会(TAXI JAPAN412号)

公開日:2024/09/20 00:52


東京ハイヤー・タクシー協会(川鍋一朗会長)は5月25日、都内千代田区の「ホテル・ニューオータニ」で令和4年度通常総会を開き、令和3年度事業報告と同収支決算を承認したほか、コロナ禍の影響を踏まえて理事会決議で会費請求を延期していた4月と5月分の会費の免除を決めた。2カ月分の会費免除による東タク協の収入減は約5500万円になるものの、前年度からの繰越金を充てる。


来賓として、関東運輸局の小瀬達之局長、警視庁の早川智之交通部長、東京労働局の井口真嘉労働基準部長が駆け付けて祝辞を述べた。


自由民主党東京ハイヤー・タクシー協会職域支部(川鍋一朗支部長)の令和4年度通常総会も併せて開かれ、令和3年度収支決算と4年度収支予算を承認した。


総会終了後に開かれた懇親会には、自民党タクシー・ハイヤー議員連盟会長の渡辺博道衆院議員や幹事長の盛山正仁衆院議員、公明党ハイヤー・タクシー振興議員懇話会会長の高木陽介衆院議員のほか、自民党・公明党・立憲民主党・都民ファーストの会などから多くの東京選出の衆参国会議員や都議会議員が駆け付けて挨拶した。



川野副会長が開会あいさつ


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開会の挨拶では、川野繁副会長が「本通常総会は従来型の通常の形で開催でき、大変に喜んでいる。会員の皆さんと一堂に会せることを楽しみにしてきた」とした上で、「2020年1月末から今日までの2年4カ月間に渡ってコロナ禍という状態にあった。東京2020オリンピック・パラリンピックが1年の延期となり、さらに無観客での開催となった。この2年4カ月の間には緊急事態宣言を4回、まん延防止等重点措置を2回、我々は経験した。タクシーの運送収入は約30%減となり、全社が赤字を余儀なくされたことが想定される。現場の乗務員は退職し、新規採用もほぼ皆無という状態の中で稼働率は低下、労働集約型産業の弱さや不安定さをつくづく感じたところだ」とした一方で、「しかし、政府や国交省、厚労省、東京都などから雇調金をはじめとして数々の支援金や協力金、補助金、実質無利子の貸付金などがあり、何とかここに参集して席に座れている状況だ」などと指摘。


川野副会長は「そうした中で、3カ月前にはロシア・ウクライナ戦争が始まった。燃料価格が高騰しており、タクシー事業における燃料の原価構成比率は約5%だが、燃料価格は約2倍に跳ね上がっており、会社によっては(燃料費の割合が)10%を超えている。現在、(特別区・武三地区では)運賃改定に挑んでいるが、運賃改定以外にない、そうした状況だ。(特別区・武三地区の)今回の運賃改定は、コロナ禍の部分を除いた形でのものだが、全国の2年前に運賃改定をした地域でもコロナ禍から回復するためのさらなる運賃改定に向けて動いている状況であり、川鍋会長が運賃改定に向けての努力をとことんしているので、全員がひとつになって2桁以上の出来るだけ大きな改定幅の運賃改定となるようお願いしたい」などと要請した。


川鍋会長あいさつ


川鍋会長は、総会冒頭の挨拶で「今年は、懇親会も含めて総会が開けることを嬉しく思っている。とにかく結果がすべてであり、生き延びてこそ明日がある」とした上で、「運賃改定については粛々と進めたいと考えており、世の中にも物価が上がるという流れがある。最初に運賃改定を提起したころは孤軍奮闘で、世の中でタクシーだけ、といった不安もあったが、そういう感じでも無くなった。意外と(運賃改定に向けた)レールはカチッと嵌って出来ていると思っており、逆に、あまりワイワイとやって良い流れに竿をさしてもマズいという気もしている。私としては、粛々としっかりとやるという考えだ」としたほか、「(運賃改定は)我々が過去に積み重ねてきたタクシーの進化、設備投資、我々の努力に対して、与えられるものだと思っている。車両が良くなり、アプリで呼べるようになり、キャッシュレス決済、空気清浄器まで搭載しているが、5年前にはこれらは無かった。(運賃改定に向けて)粛々とやっていくが、我々は胸を張ってタクシーの進化というものを誇って良いし、そういう方向に対して後押しをしてくれた東京都、行政、政治の皆さんには心から感謝をしつつも、総括原価方式の原価が上がっているので、それをしっかりと運賃に反映していただく」などとする意向を示した。


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川鍋会長は、続けて「それで終わりではなく、明日も明後日も来年も続いていくので、運賃改定を糧にして未来に向けた投資をしていく、そして5年後、10年後のみならず、タクシーが140周年を迎える30年後を常に目指して、共に頑張っていこう」などと総会会場に集まった会員事業者らに呼び掛けた。


4月と5月の会費免除を決定


議事では、令和3年度事業報告と同収支決算を承認したほか、コロナ禍の影響を踏まえて理事会決議で会費請求を延期していた4月と5月分の会費の免除を決めた。2カ月分の会費免除による東タク協の収入減は約5500万円になるものの、前年度からの繰越金を充てる。


来賓では、関東運輸局の小瀬達之局長、警視庁の早川智之交通部長、東京労働局の井口真嘉労働基準部長が駆け付けて祝辞を述べた。


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関運局の小瀬局長は、「燃油高騰への対応では、4月28日から第1期分(1月27 日〜3月31日)のlpガス価格高騰相当分としての受付が始まり、本日5月25日からは第2期分(4月・5月)の申請受付が始まる。第2期の支援では、タクシー業界の要望を受けて、1日当たりの燃料使用量を第1期の10.7リットルから14.2リットルに、1台当たりの補助金額も約4400円から8200円程度へと拡充されたものになっている。また、4月26日の原油価格・物価高騰等に対する関係閣僚会議の決定により地方創生臨時交付金が拡充され、1兆円の新たな枠であるコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分が新たに創設される。タクシーをはじめ地域公共交通の経営支援にも活用可能であり、関運局では管内の地方自治体に対して支援の検討を依頼している」などと述べた。


武居副会長が閉会挨拶

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閉会の挨拶で、武居利春副会長は「関運局の小瀬局長には速やかな運賃改定をお願いしたいが、全国では労働者不足が喫緊の課題となっており、東京でもこの2年半の間に2割近い乗務員が辞めてしまった。(特別区・武三地区の)運賃改定審査では、約2万7300台の法人タクシーが算定基礎になっているが、法人乗務員への運転者証交付数は5万件を切ってしまった。タクシー1台当たり1.8人しかいないことになる。そうした中で経営をしているが、雇調金などで経営維持をしながら、新たな採用対策をやっていかないと業界として生き残っていけないのではないか。労働者の収入を増やすために運賃の値上げをすることには大きな意味がある」などと訴えた。


総会後の懇親会に多数の議員

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総会終了後に開かれた懇親会は、東京タクシーセンターの久松宏専務理事による乾杯の発声で始まり、自民党タクシー・ハイヤー議員連盟会長の渡辺博道衆院議員や幹事長の盛山正仁衆院議員、公明党ハイヤー・タクシー振興議員懇話会会長の高木陽介衆院議員のほか、自民党の平沢勝栄衆院議員(個人タクシーを応援する議連会長、東京17区)、公明党交通部会長の岡本みつなり衆院議員(東京12区)、衆院副議長の海江田万里衆院議員(立憲民主党、比例東京)、今夏の参院選挙への出馬を予定している都民ファーストの会代表の荒木ちはる都議など多くの東京選出の衆参国会議員や都議会議員が駆け付けた。


この5年間でタクシーは進化

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懇親会で、議員らを前に挨拶した川鍋会長は、「微妙な判断ではあったが、ようやくこういう形で開催することにした。参集してくださった皆さんに感謝を申し上げる」などとした上で、「ようやく(コロナ禍を)生き抜いた感じがする。我々事業者の努力、政治の力、行政の指導でなんとか生き抜いたものの、多少は会員事業者も減ってしまい、乗務員も1割5分から2割は減っている状況だ。しかし、減った仲間が何とか生き抜いて、いま少しずつ明るい兆しが見えているので、心は非常に強くここから先のタクシー110周年以降を作っていくぞという気持ちで溢れている」などとした。


また、「いまワゴン型のタクシー(jpnタクシー)が東京のタクシーの半分以上になっている。これは、東京2020オリンピック・パラリンピックのために東京都や国からの補助を得てのものだが、5年前には無かった車両であり、jpnタクシーが発売されたのは2017年10月なので、5年を待たずに東京のタクシーの半分にまで来たのは、非常に大きな進歩だと思っている。キャッシュレス決済も5年前には無かった。アプリも5年前には普及していなかった。さらに今は空気清浄器もある。東京のタクシー乗務員の平均年齢も下がり、新卒乗務員の採用で若手も増えている」などと訴えた。


東京タクが進化のショーケース

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一方で、川鍋会長は「よく地方の方に言われることだが、(進化する)東京のタクシーだけが先に行って我々を置いていかないでくれ、と。そういう時に、私は『そうではない。東京でタクシーはここまで進化できる、やれる、ということをショーケースとして表すことが大事だと、それがいずれ全国のタクシーに拡がっていくという役割を東京のタクシーが果たす』と、そう思っている」としながらも、「設備投資にはどうしても金がかかり、(決済端末などに)投資をしてきて東京のタクシーの売上の半分以上はキャッシュレスでの決済になっている。そうなると、これまではそのまま現金収入だったものが、(決済手数料などで)3%程度引かれて、1万円の売上が9700円になって、しかも入金は1カ月以上後などとなる。例えば、こうしたキャッシュレス決済のコスト、(配車)アプリのコスト、車両のコスト、そしてlpガスなどの燃料価格の高騰や最低賃金の引き上げなどに対し、我々は努力をし続けるので、特に現在要請中の運賃改定では我々の努力を反映し、みていただきたい。我々もそれを受けて、さらに東京のタクシーが全国のタクシーを引っ張るべく、前に進んでいきたい」などと強調した。


最後に、川鍋会長は「政治や行政の皆さんの協力が無くしてタクシー業界の進化は無い。夏には参院議員選挙がある。この会場に我々のことを気にかけて駆け付けていただいた先生方は全員を国政に送り出す。実際に応援するという、我々の努力を発揮させていただき、その先に東京の運賃改定があるということを皆さんの頭に置いて欲しい」などと締め括った。


懇親会は、会場に駆け付けた多くの東京選出の衆参国会議員や都議会議員らの挨拶の後、秋山利裕副会長による中締めの挨拶で散開となった。

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