日本交通と国際自動車が内定式 来春も多くの新卒乗務員が誕生へ(TAXI JAPAN420号)

公開日:2024/09/20 00:52


タクシー業界における乗務員の不足と高齢化が深刻化する中で、東京と地方、大手事業者と中小・零細事業者の間における二極化も進行している。一方で、タクシー事業の進化は止まることなく、ハード面ではアプリ配車の急速な普及と東京を中心としたJAPANタクシーへの代替、多種多様なキャッシュレス決済の導入、そしてソフト面では旧来のタクシーイメージを刷新する新卒乗務員の採用が挙げられる。20代前半の若手乗務員はタクシー業界に新風を吹き込んでいる。


東京大手による新卒乗務員の採用は、国際自動車が先鞭を付けて2010年の男性1人からスタートし、2014年からはコンスタントに毎年100人以上を採用しながら実績を積み上げた。これに同じく東京大手の日本交通が追随し、他の大手や準大手、地方の主要事業者にも取り組みが拡がっている。


そうした中で、日本交通は10月1日、都内文京区の「ホテル椿山荘東京」で、23年度入社者内定式を開催し、来春卒業の新卒タクシー乗務員の内定者312人(男性221人、女性91人、9月30日時点)のうち295人(男性210人、女性85人)、さらにハイヤー職員の内定者4人を加えた計299人が参加した。関東以外からの内定式参加者も少なくなかった。


また、国際自動車は10月3日、都内千代田区の「秋葉原UDX」で2022年度秋入社式・2023年度春内定セレモニーを催した。秋入社は男性2人、来春の新卒内定者は131人で、内訳は、タクシー乗務員106人(男性86人、女性20人)とハイヤー乗務員16人(男性11人、女性5人)のほか、総合職6人(男性4人、女性2人)、一般職1人(男性)、整備職2人(男性1人、女性1人)。 〈本紙編集長=熊澤義一〉



日本交通が内定式を開催

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日本交通(若林泰治社長、都内千代田区)が都内文京区の「ホテル椿山荘東京」で10月1日に開催した23年度入社者内定式では、冒頭、川鍋一朗会長が内定式に出席した299人(うちタクシー乗務員の内定者は男性210人、女性85人の計295人)の内定者の氏名を一人ずつ読み上げ、内定者の代表に辞令を手渡した。


来年夏〜秋頃には相乗り開始


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その上で、川鍋会長は「タクシー産業は今年110周年を迎えたが、日本交通は今年で創業95年、創業者の祖父から数えて私が三代目だ」とした上で、「我々日本交通がこのタクシー産業のリーダーとして変えて行く。これまでのタクシー110年の歴史の中では、最初の100年よりも、最近の10年の方が変化は大きい。1番大きな変化がスマートホンだ。テクノロジーの進化により、タクシー産業における大きな構造変革が起きている」としながら、「10年前にはセダン型のタクシーしか無かったが、ワゴン型のJAPANタクシーが登場し、小さく生まれた配車アプリもどんどん大きくなり、来年の夏〜秋頃には相乗りも始まる。そうなると『タクシーとバスのあいのこ』のようになる。少子高齢化の中で電車や大型バスが維持できなくなれば、もっと小さな、でもタクシーよりはちょっと大きい、オンデマンドのシャトルタクシーのようなものになって行く。タクシーは相乗りになって電動化して行く、そういうタクシーの未来に向けた変化を、皆さんが作って行く。これが、日本交通がタクシー業界の未来を変えて行くことであり、『変化はコントロールできないが、その先頭に立つのみ』という著名な経営学者の言葉があるが、これを我々が実践することによって、日本で世界最高のモビリティUX(利用体験)を作る、それが来年4月から皆さんに取り組んでもらうことだ」などとして激励した。さらに「自動運転と無人運転は違う」とも付け加えた。


皆さんの入社を心から待つ

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続いて、若林泰治社長は「今日は皆さんにタクシーという仕事のイメージを持ってもらうために、今年入社した先輩乗務員に対してお客様から寄せられた応援の言葉を紹介したい。一方で、お客様からお𠮟りをいただくケースもあるが、そのほとんどは(地理知識の欠如による)道に関するものだ。毎日のように街が変化を続ける東京では、道の習得は誰もが通る試練であり、永遠の課題でもある」などとして地理知識習得の重要性を指摘したほか、「タクシー乗務員としてキャリアを重ねることは、人間力を高めることだ。思い切って懐に飛び込んで来て欲しい。来年4月1日の皆さんの入社を心から待っている」などと述べた。


内定式の終了後には、YouTubeを使って研修センターや営業所などの事業の現場を担当する役員が、内定者から事前に寄せられた「入社に当たっての心構え」や「年配乗務員との関係性」などに関する質問などに答えた。


国際自動車が内定セレモニー

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国際自動車(石井仁社長、都内港区)は10月3日、都内千代田区の「秋葉原UDX」で2022年度秋入社式・2023年度春内定セレモニーを催した。セレモニーの前段では、新卒入社の先輩社員と内定者らが交流しながらレクリエーションを行った。


秋入社は男性2人、来春の新卒内定者は131人で、内訳は、タクシー乗務社員106人(男性86人、女性20人)とハイヤー乗務社員16人(男性11人、女性5人)のほか、総合職6人(男性4人、女性2人)、一般職1人(男性)、整備職2人(男性1人、女性1人)。


石井仁社長が内定者を激励

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セレモニーでは、石井社長が挨拶して「数多くある企業の中から国際自動車の理念と志を一緒にしてもらえる仲間となってくれることを大変に嬉しく思っている」とした上で、「私は昨年9月1日から社外取締役として国際自動車の経営に関わり、10月1日から社長に就任したところだ。私は40年前に銀行に入社し、その後は銀行と証券で計39年働いたが、新人の当時に上司や先輩から『金融の仕事はお客様のビジネスがより良い方向に向くように、そしてご希望を叶えるために支えるのが仕事だ』と教えられた。タクシー・ハイヤーの仕事も『お客様のご希望を縁の下で支える』という意味では、金融の仕事と同じだと私は考えている。私たちが様々な方々の移動を支えているということを誇りとして持ち続けていきたいと思っている」としながら、「社員の皆さんにとって働き易い職場作りに全力を傾けて行きたい。国際自動車は今年で102周年を迎えているが、ホスピタリティという考え方、それを十分に発揮させるための社員第一主義という考え方を非常に大事にしている。皆さんが携わるモビリティ事業は今、100年に一度の大変革期を迎えている。その担い手は皆さんであり、大いに期待している。お客様に感謝して、お客様に感謝されるサービスを提供し、皆さんと一緒に明るい未来を切り拓いていきたい」などと述べた。


内定者と座談会形式で質疑応答

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国際自動車の経営アドバイザーを務める三屋裕子氏(ロサンゼルス五輪女子バレー銅メダリスト、日本バスケットボール協会会長、日本オリンピック委員会副会長)が激励の言葉を述べて、「昨年の東京2020オリンピック・パラリンピックでは選手や関係者の移動などで国際自動車には大いに貢献してもらった。基本を習得したうえで、皆さんたちの若い力で100年に一度の大変革をkmが乗り越えて行くための新しいアイデアを出して欲しい」などと要請した。


役員紹介では、西川洋志会長、渡邊啓幸副会長、松本良一常務、地主茂常務、牛久恭文取締役、加藤寛治取締役、渋谷勉常勤監査役らも挨拶。


石井社長から内定者代表に内定証書が授与され、女性の乗務社員内定者代表が「国際自動車で働きたいと思った理由は、社員第一主義を掲げる社風に惹かれたからだ。kmブランドの名に恥じない社員になれるよう努めていく」などと挨拶した。秋入社者の代表も決意表明をした。


最後に、新卒内定者らのテーブルを石井社長ら役員がまわり、座談会形式で質疑応答などを行った。

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