コロナ解雇でタクシードライバーが増えた?

公開日:2024/09/18 16:23


新型コロナウイルスによる、直接的、間接的な影響により多くの業界で売り上げが下がり、結果として整理解雇リストラが行われました。はたしてそういった人材がタクシー業界へ流れてきたのでしょうか?結論としては、その因果関係を示すデータは明らかになってはいません。しかし2021年と比較すると2023年春時点ではタクシードライバー数は増加しています。


さらに今後もコロナ解雇を含むさまざまな理由で「タクシードライバーは増えていく」だろうと予測できます。


本稿ではその理由を解説していきます。解雇されないまでも、コロナの影響で給与が下がったり、さまざまな悪影響を受けたりして、タクシードライバーという職業に興味をもつようになった方は、ぜひ読んでほしいです。



 コロナ禍でタクシードライバーの人数は減少

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まず、最初に皆様へお伝えしたい内容は、コロナ禍の影響で2023年までの数年で、いったんは東京都内のタクシードライバーの数は減少していたということです。


東京タクシーセンターは、特別区武三地区(23区と武蔵野と三鷹の2市)の2020年度の法人タクシー運転者(運転者証交付者)数が前年度比4469人減の53,788人だったと発表しています。その減少数は過去10年間で最大だったそうです。


2020年と言えばまさにコロナ禍が始まったころです。そもそもタクシードライバー数は、リーマン・ショック後の10年度から減少傾向が続いていたそうです。コロナ禍に見舞われて以降はその減少幅が一層広がっていったのです。


コロナ禍による外出自粛もありました。東京都では飲食店も早い時間に営業を終了しており、当然のように終電を逃すような状況もなくなって、タクシー利用者は減少しました。

2020年の春には東京都内のあるタクシー会社(グループ)が、従業員600人に対して一斉に解雇を言い渡し、大きなニュースになりました。同様に従業員を解雇し事業縮小を行うタクシー会社が出てきました。


このようなことは、会社側が乗務員という人的資源の価値を過小評価していたから起きたと言えます。いずれにしても、状況としてタクシー業界全体の売り上げが落ち込んだことは間違いありません。ドライバーは収入減となり食べられなくなったため、辞めざるを得ないケースも増えました。そのような状態では新たな採用が進まず、先細っていく負のスパイラルに陥ったのです。


 ドライバー数は下げ止まり、増加傾向

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ただ2023年になってコロナ禍は収束し「コロナ明け」とも言われるようになっています。そしてWHO(世界保健機関)も新型コロナウイルスの感染拡大を受けて出していた「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了すると発表しました。


そういった状況でタクシー利用者は戻りつつあります。あるいは、海外からの観光客が押し寄せるような場所ではタクシー不足が深刻になっているとも言われているほどなのです。


東京タクシーセンターによれば、2023年春時点では、東京特定指定地域(特別区、武蔵野市及び三鷹市)における令和5年度末現在の登録運転者(タクシードライバー)数は61,069人となっています。これは前述した2020年時点の53,788人から大幅に増加しています。これは明らかに下げ止まって上昇傾向になっており、一過性のものとは考えられません。


 タクシードライバーが増加していく3つの理由


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コロナ禍が終息すればタクシー利用者は増え、業界の状況も変わるのではないでしょうか。コロナ禍の制約が緩和されると、外出や観光の需要が回復することが予想されます。人々は移動手段としてタクシーを利用する機会が増えるというわけです。おそらくその際に、タクシードライバーの数は増えていくと思われます。以下に、その理由の一部をご紹介します。


●コロナ禍の間に失職した人が人手不足のタクシー業界に

コロナ禍によりタクシードライバーの減少が起きましたが、需要回復に伴い、再びドライバーの需要とタクシー業界への転職数も増加していくことが予想されます。前述の通り、実際に東京都ではタクシードライバーの数は増えているのです。


すでに新たなドライバーの採用活動が継続して行われており、雇用機会が増える可能性があります。また、労働環境に関しても改善が求められ、働きやすい条件や福利厚生が充実した働き方が促進されるかもしれません。タクシー業界は需要の回復や新たなビジネスモデルの探求など、変化に対応する柔軟性を持っていると考えられるからです。


そこに「コロナ禍の影響で会社の業績が悪化し解雇されてしまった、あるいは自ら退職した」このように、急な社会情勢の変化で職を失った方々は世界で、そしてもちろん日本全国に多くいるでしょう。


従業員の解雇が多いのは、飲食店や物販などのサービス業、人と接触することが多い業種です。三密を避ける、ソーシャルディスタンスを求められていた状況では、多くのサービス業で難しい状況になっていました。退職する話が出ていなくても、勤め先の将来性や仕事について考えた結果、転職を考える人も増加していました。こうして転職市場の競争率が上昇し、転職の難しさに拍車をかけていたとも言えるでしょう。


そんな彼らがタクシー業界を目指すのか、というと言い切ることはできません。しかしタクシー業界は、免許さえあればよほどのことがない限り、就労できる仕事です。今までもさまざまな訳ありの中高年ドライバーが多かったことは、タクシー業界以外の方にも知られています。こういった理由でタクシードライバーへの転職を考える方も多いのではないでしょうか。新型コロナウィルスで経済が停滞し、転職市場に与える影響は多岐にわたります。


ひょっとすると、今までタクシードライバーを考えたことが無かったような方も、タクシー業界就労のメリットや魅力を調べて知って、転職して来る方も増えるかもしれません。転職先候補として有力であるタクシー業界について、後述で紹介するので、いまお仕事を探している方も、これから考えている方もぜひ参考にしてみてください。


●タクシー業界の将来性

コロナ禍により、人々の移動パターンや生活スタイルが変化しました。これはコロナ禍が収束して、いわゆるコロナ明けになっても、それらは元に戻るか戻らないという話ではなく、変化した先に新しいビジネスチャンスが生まれている可能性があり、タクシー業界はそこに対応して行ける余地があるのです。


それは例えば、配車アプリやマイクロモビリティとの連携、宅配サービスなどです。まず一度三密や清潔感を意識した場合、タクシーは公共交通機関としては非常に安心感があり、そのうえさらに、より使いやすく、呼びやすくなったタクシーは、今後の需要の変化に応じた新たなサービスや提携が展開、発展していく余地は非常にあります。タクシー業界は魅力のある、転職したくなる業界だと言えるのです。


●タクシー業界への転職ハードルが下がった

最後に、2022年5月の改正道交法で運転手の年齢要件が「21歳以上」から「19歳以上」に引き下げられた点にも触れておきます。いわゆる中高年の転職には関係ないかもしれませんが、以前より一層転職しやすく、若年層(ドライバー)の成り手が増える業界というイメージアップになり、タクシー業界が活気づくことは間違いないでしょう。


例として福井新聞の記事を引用いたします。

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敦賀第一交通(福井県敦賀市)で活躍しているのは、19歳の岩佐莉亜さん(同市)です。彼女はタクシー運転手として働いています。県タクシー協会によると、旅客運送に必要な第2種運転免許の受験資格が緩和され、県内で初めて20歳以下のドライバーとして誕生した唯一の存在です。敦賀第一交通は「タクシー業界では運転手の不足や高齢化が課題となっています。若い世代や女性の人材確保の一翼を担えることを期待しています」と述べています。


2022年5月に改正道交法が施行され、バスやタクシーの運転手の年齢要件が「19歳以上」となりました。これまでは「21歳以上かつ普通免許などを保有している期間が3年以上」でしたが、特例教習を修了した場合は「19歳以上かつ普通免許などを保有している期間が1年以上」でも受験資格が与えられるようになりました。

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引用元

https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1719043


 タクシードライバーのメリット


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コロナ禍で失職した、しないにかかわらずタクシー業界へ興味を持っている転職者の方(潜在的な人も含め)、参考までにタクシードライバーという職業のメリットを紹介します。


●自由な働き方

タクシードライバーは比較的自由な働き方ができます。自分のスケジュールに合わせて勤務時間を調整できるため、プライベートな予定や家庭の都合に合わせて働けます。また、フルタイムやパートタイムなど、自分に合った働き方が選べるのも魅力です。


●変化に富んだ仕事内容
タクシードライバーの仕事は毎日異なるルートや乗客との出会いがあります。新しい場所や人との交流があるため、モノトーンな日常に飽きることなく、刺激的な経験が得られます。さまざまな人々とのコミュニケーションを通じて、社会の様々なニーズに応えることもできます。


●報酬と収入の可能性

タクシードライバーは努力次第で収入を増やせます。稼働時間や配車数によって収入が変動するため、自身の頑張り次第で報酬を高められるのです。経験を積み、やり方次第では年収1千万円を狙えるでしょう。実際にそれだけの収入を得ているドライバーも存在します。


●安定した需要

交通手段としてのタクシー需要は常に安定して存在しています。本稿ではコロナ禍によって需要が減った状況も説明しましたが、2023年春には国内需要、そして海外からの観光客の需要は回復してきており、アプリといった新しいツールによってより利用しやすくもなってくることから、将来的にも長期的な需要が見込まれ、安定した雇用の可能性も想像できるのです。


 まとめ


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  • コロナ禍で一旦タクシードライバーの人数は減少
  • 2023年春になるとドライバー数は下げ止まり、増加傾向
  • コロナ禍の間に失職した人が人手不足のタクシー業界に流れたというデータはないがタクシードライバーへ転職者は増える可能性がある
  • タクシードライバーが将来的に増加していく理由がある


コロナ禍により一時的に需要が低下しましたが、現在は社会の活動再開に伴い需要が回復しつつあります。人々が外出や移動する機会が増えており、それに伴いタクシーの需要も増加しています。この需要の回復により、新たなドライバーの需要も生まれていくでしょう。


またコロナ禍により旅行業界は大きな打撃を受けましたが、現在は徐々に旅行需要が復活しています。東京は国内外からの観光客が多く訪れる都市であり、観光客の移動手段としてタクシーが利用されるです。旅行需要の回復により、タクシードライバーの需要も増えているのです。


コロナ禍において、さまざまな業種で雇用不安が広がりました。実際に失職した方もいます。その中でタクシードライバーは比較的安定した雇用を提供でき、安定した収入を得られる職種です。また、努力次第で収入を増やすことも可能であり、収入面での魅力も存在します。


必ずしもコロナ禍で職を失った方がタクシー業界を目指すとは言えませんが、この春に増加したタクシードライバーの人数のうち何%かはコロナ禍を理由に転職した可能性は否定できません。もちろん、タクシー需要が復活、伸びてきていることを知って転職しようという方もこれから増えてくるかもしれません。


またコロナ禍により若者の雇用環境が厳しくなったことから、タクシードライバーとしての就職や転職を考える若者が増えた可能性もあります。一方で、高齢ドライバーの中にはコロナ禍で収入減やリスクの増加を理由に退職するケースもありました。このようなドライバー不測の状況から、若者層の採用が一層進み、タクシードライバーの数が増加しているとも考えられます。


タクシードライバーはワーク・ライフ・バランスを重視する現代の働き方にマッチしています。コロナ禍により働き方やライフスタイルに対する意識がより変化しました。タクシードライバーは比較的自由な働き方ができ、スケジュールや休暇を調整しやすいという特徴があります。これはタクシードライバーという職業の大きな魅力です。

上記の要素が組み合わさり、東京でタクシードライバーの数が増えている、そしてこれから増えていくと考えられます。転職を考えている方は、この大きな波に乗ることを検討してみてはいかがでしょうか。

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