ライドシェアとは?タクシーとの違いを徹底解説

公開日:2024/12/25 23:28


最近、ニュースなどにライドシェアという用語がよく見られるようになりました。聞き慣れない単語ではありますが、タクシー業界の業界紙などでは3,4年前から議論されてきました。大まかな傾向としては、タクシー業界はライドシェアに反対しています。一方で、ライドシェアにビジネスチャンスを見込む会社などもあり、現在の規制を撤廃あるいは緩和しようと活動しています。この記事では、ライドシェアとは何なのか、どのようなメリット、デメリットがあるのかをお伝えします。



 ライドシェアとは?


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まずライドシェアとは、路上でお客さまが手を上げて止めるられないタクシーのようなもので、ウェブサイトやアプリなどを使って、車両と乗客をマッチングさせるサービスです。アプリ予約で呼び出すタイプのタクシーだと考えるとわかりやすいと思います。自家用車で、バイト感覚でときどきタクシー営業ができるようになると考えればわかりやすいと思います。


Uber Eatsのように勤務シフトがなく自分で働き方を決められるというとわかりやすいと思います。そもそもUberは、ライドシェアサービスとして有名ですが、日本ではライドシェアができないため、食品配送サービスを中心に展開しています。Uberは日本でも使えますが、呼び出す車両はタクシー会社が管理していて、ドライバーはタクシー会社の社員です。


現在の日本では、旅客運送法などで厳しく規制が敷かれているため、勝手にライドシェアサービスをはじめられません。また、運転手にも二種免許が求められるため誰でも簡単に営業できるわけではありません。さらに、旅客運送の車両には厳しい安全基準や月1回の定期的な整備が義務づけられています。


それでも、ドライバー不足は全国の都道府県で言われていることで、こういった問題を解決していくことも必要になっています。そのための特効薬としてライドシェアが語られていますが、メリット、デメリットともにあるため、導入したからすぐに問題外解決していくというものではなさそうです。


 ライドシェア導入のメリットとは


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まずはライドシェアを導入するメリットをご紹介します。一般に、ライドシェアのほうが正規のタクシーよりも価格が安い傾向があります。どうして安価に出来るのかというと、会社組織を維持する必要はありませんし、車両の維持費、整備費などもかかりません。そのため、価格を安く抑えられます。


またタクシーだけではなくライドシェアも展開されていると、お客さまが状況に応じて選択できます。少し高くてもタクシーを使ったほうが快適だと感じる方もいると思いますし、少しでも安くしたいという方もいると思います。


次に都市部はともかく地方都市では、早朝や深夜などにタクシーが不足するという事態があります。そういった場所では、ピンポイントで旅客輸送車両を増やせるライドシェアがあることは大きい。副業としてライドシェアをする人が多いと、自然にタクシー高需要かつ、提供不足の時間帯にフォーカスしていくことになります。そういう意味でも良い仕組みだと言えます。


ライドシェアはアプリ内などで決済することになるため、キャッシュレス決済がしやすいというのもメリットといえます。もっとも、現在ではタクシー会社もキャッシュレス決済に対応していることが多いので、ライドシェアだけのメリットとは言えません。


ルートを運転手に説明するのが面倒に感じる人の場合には、事前にルートを指定できるライドシェアに利便性を感じることもあるでしょう。こちらもタクシーアプリを使えば同じ事はできますが、流しのタクシーを拾ったり、タクシー乗り場にいるタクシーを使ったりする場合には、当然ながらルートの説明する必要があります。流しのタクシーという概念はライドシェアでは使えません。ライドシェアはアプリでの呼び出しのみに対応しているからです。


 デメリットもあるライドシェア


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次にデメリットについて考えてみましょう。まずハードルになっているのは、現状の法律規制です。規制があるなら撤廃すればいいという単純な話ではありません。例えば、タクシードライバーは、連続で働ける時間や、勤務間の休息時間に規定があります。正確には把握していませんが、例えば、隔日勤務を20時間したあと、24時間以上空けなければならないなどの規定があります。どうしてこういう規制があるのかというと、十分な休憩を取れていないタクシードライバーは、事故のリスクが高まっていると考えられるからです。


法令ができるには一定の根拠があり、現状は事故を減らせるように最適化していることを考えると、法令を変えた際にはイレギュラーな事故が起こりやすくなることが想定できます。実際にタクシードライバーとして勤務してきた者の感想としても、タクシー営業は極めて事故のリスクが高い仕事と言わざるをえません。だからこそ、プロとしてしっかりと体調管理して、安全確認をします。また、営業所の責任者、あるいは内勤の担当職員が無事故、無違反で営業するように何度も念押しします。そうやって対策していても事故は起こってしまいます。自責の事故はある程度防げますが、他責の割合が高いものについては避けようがないこともあります。


事故が起きないように運転すればいいという単純なものではありません。一般のドライバーが数年運転して事故をしないということと、タクシードライバーとして営業している間に事故を起こさないことは少し違うのです。運転する道はイレギュラーですし、知らない道を走ることも多い。さらに後ろには知らない人が乗っており緊張感もあります。また夜の繁華街などで呼ばれた場合、細い道で、かつ車道に酔っ払いがたくさん歩いているということもよくあります。道も覚える必要があります。


ナビ通りに進めばいいと思うかもしれませんが、工事していたり、慣れていないと右左折のレーンに入り損なったり、工事を迂回したりと、実はナビ通り進むのも簡単ではありません。お客さまを乗せて、知らない道を間違えないように緊張しながら運転していると、歩行者を見逃したり、後ろをみないで車線変更してしまったり……ということが起こりえます。お客さまは急いでいる方が多く、なかなか車が来ないなどの理由でご乗車いただいた時点で怒っていることもあります。


例えばですが、30歳年上の社長を後部座席に乗せると凄くイライラしている様子で「時間がないから急いでくれ」と言われた場合、決して道を間違えるわけにはいきません。そういうときに限って曲がり角を間違えるということはあります。ナビ通りにといっても、ずっと注視しているわけにはいきません。何かに気を取られている隙に曲がり角を間違えてしまうということが起こります。


素人ドライバーが増えることで渋滞が加速する可能性もあります。ライドシェアで稼ぐためには高需要のポイントの付近で停車してお客さまから連絡を待つのが有効です。ということは、高需要のポイントのまわりにはライドシェアの車がたくさん停車しているということが起こりえます。もちろん、タクシーでも似た状態にはなりますが、タクシーの場合には流し営業ができるので少し状況が異なります。何のトレーニングもされておらず、経験もないドライバーが、夜の繁華街に突入してくるとなると混乱することは目に見えています。


メリットとして競争原理が働いて、利用者にとって良い環境になる可能性もあるのですが、逆に悪い環境になってしまう危険性もあります。競争が激しくなるとタクシー会社の中には倒産してしまうところも出てくると思います。また、歩合性の給料で働いている運転手の中には低賃金になってしまい離職してしまうことも想定されます。市場としては競争が激しくなるほうがいいのですが、安定しない職場で働きたいと思う人は多くありません。結果として、タクシーもライドシェアも少なくなり、利便性が下がっていく可能性があります。


このあたりはやってみないとわからないところですが、タクシー業界としては現在の安定を保つようにしたいと考えるのは当然と言えます。そして、ライドシェアを導入して、ライドシェアが儲からないとなった場合には、すぐに撤退することでしょう。タクシーが減ってしまった場合には、また増えるまでには時間がかかると思われます。その間、街の交通機関の利便性が低下した期間が続いてしまうリスクがあります。


最後にプライバシーの問題があります。ライドシェアでは、他の利用者と車を共有することがあります。例えば自宅が同じ練馬区にあるお客さま同士が3人同乗するということが起こりえます。この場合、運賃は安くなることでしょう。一方で、自宅の場所がかなり絞り込まれてしまうというデメリットがあります。タクシードライバーの場合には、会社やドライバーが社会的責任を重く背負っているため、一定の抑止力がありますが、ライドシェアの場合にはその保証はありません。


 世界各国のライドシェア事情


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世界各国においてライドシェアを認めるかどうか、どの程度の規制を設けるかどうかについては、対応はまちまちです。


韓国では2014年に、ソウル特別市からUberによるライドシェアを禁止するという公式声明が出された。Uberは司法を通じて争ったものの、2015年に撤退しました。スペインでは、一度裁判所によって営業を中止するように命令が出たものの、のちに資格を取ったドライバーについては営業できるよう認められました。


シンガポールではライドシェアが認められており、シンガポール市民で、2年間免許を保持していれば営業ができました。しかし、30歳以上に限定されることに。これは、ドライバーの供給過剰を防ぐためという名目なのですが、もしかしたら事故が多いなどの問題が多かったのかもしれません。


ドイツでは一度認められたものの、後にUberに対して営業禁止命令が出されました。若干緩和され、今ではタクシー会社などと協力して展開されています。つまり、日本と似た状況だと言えます。


すべては紹介できないのですが、ライドシェアについては、全面解禁というケースは少なく、何らかの規制を受けたり禁止されていたりすることが多いように思います。解禁されていたとしても、事故やドライバーによる犯罪などによって規制されていく可能性もあります。世界の動向を見ていて思うのは、ライドシェアを解禁するのがゴールということではなく、解禁したあとも社会情勢などを踏まえて規制が強まったり、あるいは弱まったりしていく可能性があります。ライドシェアで稼ぎたいとお思いの方もいるかもしれませんが、今の段階では何ともいえません。


 まとめ


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  • ライドシェアによってドライバー不足などの問題が解決していく可能性がある
  • 一方で、事故や渋滞を巻き起こすなどのリスクは十分に検討しなければならない
  • 世界各国の対応もまちまちであり、世界中で導入されているから日本もやるべきというのは短絡的かもしれない


ライドシェアについてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。タクシードライバーだった経験から思うのは、やはり夜の繁華街やビジネス街については、ライドシェアはあまり向いていないと思います。酔っ払いの相手をしながら道を探すのはプロのドライバーでも決して楽ではありません。


ドライバーの仕事は、道を知っていて当たり前、運転がうまくて当たり前、その上で接客技術が問われます。接遇といわれる、お客さまの快適さを最優先に考える接客が求められるわけです。こういった技術は、簡単につくものではありません。社交的で接客に自信がある方でも、運転をしながら、道を探しながら、背後に人の気配を感じながら接客するのはぐっと難易度が上がります。


このような問題点を超えてライドシェアしていくためには、やはりタクシードライバーとしての実務経験は必要ではないかと思います。現在、個人タクシーの営業が認められていますが、この制度を改革していくのがいいかもしれません。現状だと10年の勤務経験が必要となりますが、これを3年程度に短縮するという考え方です。


また、個人タクシーならぬライドシェアのドライバーとなったあとも、タクシー会社に所属できて、会社のタクシーで出るか、自分で営業するかを選べるようにするのも手だと思います。もちろん、タクシー会社への負担もありますが、公共交通の利便性を確保するために、国や自治体が主導的に考えていく必要がある問題なのは間違いありません。

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