
タクシー業界に転職しようと思った場合、具体的にどういう手順を踏むべきでしょうか。一般の職種であればハローワークで紹介してもらったり、ホームページの求人を見たり、あるいは、転職エージェントに登録して探したりということになるはずです。色々な方法があり、特にこだわりがないならば目に付いたものは何でもいいと思います。ただどうせ転職するならなるだけ有利に転職したいと考える方に向けて、情報を整理しようと思います。タクシー業界への転職のルートはいくつかあります。友人の紹介、ホームページの求人情報などをみて連絡、転職サイトから直接応募する、転職支援サービスを使う、などです。
友人の紹介については、実はあまりお勧めできません。そもそも友人がタクシー会社で働いていないと使えませんし、友人が働いている会社が自分にとってもベストかどうかはわからないからです。タクシー会社の中には紹介システムがあって、タクシードライバーを自社に紹介すると10~20万円が支払われることがあります。こういう事情があるので、友人のほうも深く考えずに勧誘している可能性があります。友人・知人がいる会社ならば困ったときに話が聞けると安心する方もいるかもしれませんが、タクシー乗務は基本的に一人でやるものです。乗務の前後で会ったときに雑談に行くことくらいはできるかもしれませんが、そのくらいしかメリットはないでしょう。何か聞きたいことがあれば会社の内勤スタッフに聞けばいいからです。業界未経験者だと不安かもしれませんが、研修がしっかりしている会社を選べば問題ありません。
会社のホームページの求人要項を読むのは良い方法ですが、予算規模の大きい大手タクシー会社のサイトは作り込まれており、良さそうに見えてくるという特徴があります。きっと広告代理店などのエージェントが間に入っているのでしょう。個人的な感想ですが、実態よりも美しくまとまりすぎているように思えてしまいます。もちろん、だまされたと思うことはないでしょうが「思い描いていたものと違うな」と感じることはあります。実際に私がそうでした。私の就職した会社は、ホームページは未整備で、リンク切れも多数あり、手作り感溢れるYouTube動画がいくつかあるだけでした。ホームページだけを見ると行こうとは思えなかったのですが、それでも行ってみると非常に対応がよく、ドライバーとしても働きやすい会社であったため、入社を決めました。ただ、一つ後悔はあります。ちょっと違うやり方をすれば20万円プラスでもらえていたのに、と。
タクシー業界は、万年買い手市場です。ドライバー目線で言うと、強い売り手市場だということです。そのため、自分たちは就職先を選ぶ側だという認識を持って下さい。もちろん、雇ってくれる会社には忠誠を誓うのが社会人としてのモラルだと思いますが、契約するまでは自由です。とはいってもあまり難しく考える必要はありません。重要なのは、タクシー会社は「お祝い金」というシステムを用意している場合があることです。
お祝い金というのは、その会社に就職したことを祝うという名目でもらえるお金です。金額は10万円から最大で100万円ということもあります。求職者としては、この制度をうまく使うべきです。まず金額についてですが、10~20万円ということが多いはずです。探してみると30万円、40万円というものも見つかります。直接見たことはないのですが、タクシードライバー仲間が100万円の設定を見たことがあると言っていました。金額が多ければ多いほど得なので高いものを選ぶ……、というのは危険です。
理由としては2つあります。まず、祝い金の金額だけではなく、その会社が自分に合っているのかどうかを見極める必要があるからです。祝い金を20万円多くもらうために、合わない会社で苦しんでしまうようでは本末転倒です。快適な勤務環境があるからこそ、売上があがり、収入も増えていきます。場合によっては祝い金0円でも入るべき会社はありますし、100万円でもやめたほうがいい会社もあります。実際に100万円と設定されていた会社は、ノルマの設定などが厳しかったようです。つまり「一定の売上ノルマを3年間」というような、長期間続けないと返還する義務が生じるというような縛りの厳しいものであったと聞いています。祝い金がなかったとしても、その会社に入りたいと思っていたのであれば渡りに船ですが、家から遠く、歩率などの条件も悪い場合には、祝い金を諦めるほうが長い目で見ると稼げるということになります。
そのうえで著者が思うのは、本サイトのようなサービスを利用した上で直接応募すれば一番得していたのになぁ、ということです。
他の業界の場合、直接応募と転職支援サービスのどちらがいいかは、一概に言えないようです。転職支援サービスの場合には、転職エージェントがつくので、第三者の目線でアドバイスがもらえますし、もしかしたら表には出ていない情報も教えてくれるかもしれません。その上で、志望する会社を決められるので外れをひきにくいというのはあると思います。直接応募するのは勇気がいるので躊躇してしまう方もいるかもしれません。そういう方には転職支援サービスはお勧めといえます。
一方で、直接応募のほうが転職支援サービスよりも優れている点はあります。転職支援サービスはドライバー志望者をタクシー会社に紹介することで、紹介料を得ることになります。正確な金額がいくらになるのかはわかりませんが、25~50万円前後になるのではないかと思います。もしかしたらもう少し高いケースもあるかもしれません。直接応募する場合は、この費用が発生しないことになります。もちろん、広告費は必要だと思いますが、転職エージェントが一人入る場合よりもローコストです。その分の差額がお祝い金になると考えればわかりやすいのではないかと思います。
筆者の場合は、本サイトのような求人が載っているサイトではなく、会社のホームページを見て応募しました。しかし、後から気づいたのですが、タクシー会社の求人サイトを見て、そこから応募していれば20万円のお祝い金がもらえたのです!!
もしかしたら20万円余計にもらえたかもしれないと思うと、今でも少し悔しい。もしかしたら自前のホームページにもお祝い金のシステムを入れている会社はあるかもしれませんが、いずれにせよ、どの経路で申し込むのが一番得するかを考えておくべきでしょう。
転職支援サービスでもお祝い金が出ることはありますが、ドライバーを会社に紹介できた時点で紹介料が発生する契約になっていると思われますので、決まるまで頻繁に電話がかかってくるということはあるかもしれません。そういった事情も踏まえて、どういう経路で就職するかを決めるとよいでしょう。
タクシー会社を選ぶ際の基準について、お祝い金を中心に紹介してきましたが、前述したようにその金額の多寡のみによって会社を決めるべきではありません。では、具体的にどういった点に注意して会社を決めるべきなのかを説明します。
最初にみるべきは営業地域です。自分が居住しているのが愛知県なのに、青森県にある会社の求人を見ていては話になりません。ただ、愛知県で働くか、岐阜県で働くかと悩むことはあると思います。東京在住であっても、23区と武蔵野市、三鷹市から構成される東京武三地区にある会社を選ぶのか、多摩地区などの郊外を選ぶのか、あるいは、千葉県、埼玉県、神奈川県などの隣県を選ぶのかを決める必要があります。場合によっては、複数の地域にまたがっている会社もありますが、タクシードライバーの運転者証を取得できる地域は基本的に一つです。
なので、どの地域で営業したいのかは考える必要があります。特に東京武三地区と神奈川県の横浜を含む地域を選ぶのか、それ以外を選ぶのかで、まったく別の仕事のように営業の仕方が変わってきます。単純に稼ぎたいという場合には、人口が多い中心地を選びましょう。逆に、のんびりマイペースでやりたい場合には、他の地域を選ぶのも手です。
次に重要なのは営業所の位置です。タクシーの営業所は都心の駅前などにはありません。都心に近ければ駅から少し歩いたところにあることが多いですし、ほとんどの場合には土地代が安い郊外にあります。そして、タクシードライバーは拘束時間がやや長く、疲労がたまりやすい仕事であるため、営業所までの通勤が楽かどうかは非常に重要です。例えば、バスと電車を組み合わせて1時間以上かかるというような場合は、ある程度覚悟して通う必要があります。似たような条件で、家から徒歩圏内にタクシー会社があるようなら、絶対にそちらを選ぶほうがいい。遠い営業所を選ぶ場合には、そこまで通勤する意義があるかどうかをよく考えてみてください。
また、駅から離れた位置に営業所がある場合も多い。そういったときは、自家用車や原付、バイクなどで通勤できるかどうかを確認しておきましょう。自家用車が止められる営業所も多いのですが、都心に近づくほど駐車スペースがギリギリになるので、自家用車通勤は禁止されていることが多いようです。営業所近くにコンビニや薬局、スーパーなどがあるかどうかも大切です。タクシードライバーにとって営業所は第2の家のようなもの……、と考えているのは筆者くらいかもしれませんが、そのくらい暮らしに密着した場所になります。
勤務シフトが選べるかどうかも確認しておきましょう。未経験の場合にはよくわからないかもしれませんが、タクシー乗務で一番多いのは隔日勤務です。昼夜勤とよばれる働き方で、大まかにいうと丸一日働いて、次の日は明番として休むというシフトです。隔日勤務には早番と遅番がありますが、会社によっては早番だけのこともあります。早番がないというケースは聞いたことがありません。
早番は午前7~10時頃に出庫します。車庫に戻ってくるのは午前3~6時の早朝と考えて下さい。出庫時間は自分で選べることが多いですが、会社によっては厳密に決められているかもしれません。著者のいた会社は30分単位で選べました。
遅番は13~16時頃に出庫します。そして、車庫に戻るのは、翌朝の9~12時です。早番と遅番の違いは、出て行く時間と戻る時間だけなのですが、遅番のほうが稼ぎやすいと言われています。タクシーの稼ぎ時は、帰宅ラッシュ、終電後の長距離移動、朝の出勤ラッシュの3つです。早番の場合には、朝の出勤ラッシュと終電後のどちらはカバーできません。遅番の場合には双方をフルに使えます。ただし、生活リズムは少し乱れることになるので、どちらを選ぶかは好みによります。
それ以外に気にしたほうがいいのは、歩率です。歩率は売上に対して何%が自分の収入になるのかを表した数字です。歩率が50%なのか60%なのかで、収入は随分と変わってきます。ただ、この会社は歩率何%と決まっているのではなく、その会社における勤務状況で変わってくることが多い。このあたりはかなり複雑なので、未経験者だとわかりづらいかもしれませんが、重要な項目なのでしっかり聞いて確認しておきましょう。
2種免許の取得支援があるかどうか、営業をはじめるまえに研修する制度があるかどうか、その間に日当は出るのかどうかも確認しておきましょう。東京武三地区で営業を始める場合には、地理試験やタクシーセンターでの研修もあるため、1ヶ月から、長い場合には2ヶ月の研修を受ける場合もあります。
ちなみに経験者の場合はどの項目をチェックするのかというと、営業所の位置、歩率、所属している無線グループ、配車アプリの種類、そして所有しているタクシーの車両です。車両というのは、旧式のセダンなのか、それとも最新式のジャパンタクシーやアルファードなどがあるのかどうか、新入りであっても回ってくるのかどうかは重要なポイントです。このへんは経験者の場合には、日曜日に車庫を見るだけで何となくわかります。
タクシー業界に就職する場合に、直接応募より転職支援サービスを使うほうがいいのかどうかについて考えてきました。人によっても好みは異なるため、一概には言えないのですが、自分でしっかり調べて、転職サイトを見比べ、直接応募するほうが祝い金を取得しやすいという意味で得をするのではないかと考えています。タクシー業界は、やってみないとわからないことが多い特殊な業界なので、しっかりと調べてから門を叩くようにしましょう。